マイクロソフト、サイバー犯罪対策拠点を日本にも開設

サイバー攻撃や詐欺犯罪などの対策にあたる「Microsoft Cybercrime Center」を日本マイクロソフトの社内に開設した。

» 2015年02月18日 20時31分 公開
[國谷武史,ITmedia]

 日本マイクロソフトは2月18日、サイバー犯罪対策にあたる「Microsoft Cybercrime Center 日本サテライト」を開設した。対策拠点としては世界では5カ所目となる。

 Microsoftは、2013年11月に米国ワシントンD.C.にサイバー犯罪対策組織の「Microsoft Cybercrime Center」を設置。サイバー犯罪の手法や動向の調査・分析・情報共有のほか、ITベンダーやISPなどの企業および世界の法執行機関などと連携して犯罪組織やボットネットなどの攻撃インフラを閉鎖に追い込む活動を展開している。拠点は米国以外にベルリンとシンガポール、北京で開設済みだ。

「Microsoft Cybercrime Center 日本サテライト」の内部

 国内では1月に「サイバーセキュリティ基本法」が全面的に施行されたばかり。また、2012年のロンドン五輪ではサイバー攻撃が急増し、2020年の東京五輪で同様の傾向が予想されることから、まず日本サテライトでは国内外のセキュリティ機関に対する情報提供や連携を中心に活動していく予定。この他に児童ポルノ対策として同社が開発した画像認識・調査サービス「Microsoft PhotoDNA」を国内提供する。

日本サテライトで予定される活動内容

 日本マイクロソフトでも法人向けにセキュリティ対策状況の評価や改善に関するアドバイス、標的型攻撃などの脅威の検知や監視と、防御を支援するサービスを提供するという。

リチャード・ボスコビッチ氏。従来の対策はボットネットの検知など技術的手法が中心だったが、同氏の参画によって法制機関と連携した閉鎖対応まで可能になったという

 同日の記者会見で日本マイクロソフトの樋口泰行社長は、「当社はソフトウェア基盤からクラウドサービスまでを提供する立場であり、ユーザーに安心を提供していくためにもセキュリティへの取り組みをさらに強化していく」と表明。Microsoft デジタルクライムユニット アシスタント ジェネラルカウンシルのリチャード・ボスコビッチ氏は、「2014年9月には世界の金融機関が加盟するFSISACとも提携し、サイバー犯罪からネットを守るための活動を広げている。日本サテライトの開設に伴い、日本での取り組みを一層加速させていきたい」と述べた。

 Microsoftによれば、従来のボットネットの閉鎖はボット型マルウェアに感染したコンピュータのIPアドレスをもとに実施してきたが、近年は犯罪者側がIPアドレスを頻繁に変更するなどして閉鎖を回避するようになった。このため同社では世界の法執行機関と連携体制を強化。ホスト側のコンピュータを差し押さえるなど攻撃インフラの根幹を断つことで犯罪行為自体を難しくさせ、犯罪抑止に成果を上げていると説明する。

MicrosoftはCybercrime Centerの開設以前から警察やセキュリティベンダー各社と連携したボットネットの閉鎖活動を展開している

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