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» 2015年02月27日 15時00分 UPDATE

「フラット35」だけで住宅ローン業界6位、メガバンクと戦うSBIモーゲージの躍進を支えるのは?

ノンバンクながら住宅ローン累計実行金額が2兆5000億円にも達するというSBIモーゲージ。フラット35の取り扱いシェア1位を走る同社の差別化ポイントは「圧倒的な速さ」だった。

[ITmedia]

 家を買う――それは多くの人にとって一生のうちの最も大きな買い物になるだろう。同時にそれは、ほとんどの人にとって住宅ローンとの長年にわたる付き合いが始まることも意味する。

 「フラット35」という名前を聞いたことはないだろうか? 最長35年の長期固定金利住宅ローンだ。これは、公的な組織である住宅金融支援機構と民間の金融機関が提携して販売するもので、2015年2月は過去最低レベルの超低金利(返済期間15〜20年が年利1.100%、同21〜35年が1.370%)となっている。

 住宅ローンを取り扱う金融機関は約330社。その中で最も多くフラット35を取り扱い、4年連続でシェア1位となっているのがノンバンクのSBIモーゲージだ。同社は住宅ローンの実行金額ランキングでもメガバンク系の5つの金融機関に次ぐ業界6位まで急成長している。その原動力となっているのがSalesforceを活用した業務プロセスのクラウド化だ。

販売力×商品開発力×オペレーション力、それを支えるSalesforce

 モーゲージバンクとはあまり聞きなれない言葉だが、簡単にいえば固定金利の住宅ローンを専門に取り扱う金融機関のこと。SBIモーゲージは2001年5月に日本初のモーゲージバンクとして誕生したノンバンクだ。

 しかし、潤沢な資金を持つ既存の金融機関とてフラット35を取り扱っている。この状況を例えるならば「同じメーカーの缶コーヒーを仕入れた複数のコンビニがその売り上げシェアを競っているが、自社は資本力が劣る」ということ。となれば、SBIモーゲージがメガバンクと伍するためには徹底的な差別化が必要だった。

SBIモーゲージ SBIモーゲージの住宅ローン累計実行額は2兆5000億円を超えた

 同社の強み、それは「販売力×商品開発力×オペレーション力」(直海知之社長)。そのすべてにおいてSalesforceを核としたクラウドソリューションの活用がある。

 まずは販売力。一般的な住宅ローンのビジネスモデルは、家を購入しようと思う消費者が不動産業者の紹介などを通じて金融機関でローンを組むことが多いB to B to Cモデル。それはSBIモーゲージも同じだが、同社はより直接的に消費者にアプローチする。1つは全国に出店するフランチャイズ(FC)戦略、もう1つがWebサイトからリアル店舗へ誘導するO2O戦略だ。

 170店舗以上となる実店舗のうち直営店は5店舗のみ。FC店の多くは3〜5人程度の小規模店舗なので、そこに業務システムや拠点間ネットワークなど本部と同等のITインフラを投資することはコスト負担が大きい。そこで同社は2009年から業務システムのクラウド化を始め、現在ではその90%以上がSalesforce上で稼働している。これならばインターネット回線を用意するだけでFC店をスピード展開できる。

 また、同社のWebサイトでは、住宅購入にまつわるコラムや金利シミュレーションなどを提供。さらに最寄りの実店舗への来店予約を促して消費者とダイレクトにつながる導線を巡らせている。Webサイト自体はAWSで動かしているが、消費者の行動履歴はsalesforce上のデータベースで一元管理し、SBIモーゲージ全体での販促活動などに利用する。

 次に商品開発力。フラット35という長期金利固定型住宅ローンそのものに違いはないため、それを取り扱う金融機関ならではの付加価値で勝負しなければならない。SBIモーゲージでも当初は独自アプリを開発し、実装していたがなかなかうまくいかなかった。システム部門がサーバの管理や保守にほとんどの労力を割かれてしまったからだ。

 そこでシステムエンジニアが煩わしいと感じたものはSalesforceが提供する機能にアウトソース。最大8つあったサーバラックも現在は1つだけとなり、ハードウエアやネットワークのインフラ運用から解放された。余力を取り戻した彼らをシステム企画や新規開発に回し、インフラ保守費をビジネスを推進ための投資に変えることができた。

 そしてオペレーション力。同社では申し込みから融資実行に至るまでの住宅ローンの業務オペレーションをクラウド化。本部、FC店問わずすべてのスタッフはSalesforceを入口として業務を行っている。それまでの書類ベースのワークフローでは平均して1〜2カ月かかっていた一連のプロセスが1カ月を切るスピードで実現できるようになった。この「速さ」こそが競合との大きな差別化ポイントとなっている。

do_sf00.jpg Salesforce World Tour Tokyoで講演するSBIモーゲージの直海知之社長

 しかし、直海氏は「『何が何でも全部クラウド』は正しくない」ともいう。例えば、システム統合でも当初はレガシーシステムのすべてをSalesforce上に持っていこうとした。だが与信管理システムなどの専門性の高い既存システムは無理やりクラウド化する必要性はないと判断した。

 クラウドをどのように活用するかは、その企業のビジネスのやり方によって異なり、これを入れればすべてが解決するといった魔法の杖ではないのだ。現在同社ではSFAのベストプラクティスを模索しているところだ。

 「大切なのはセールスパーソンに使わせるのではなく、彼らが使いたくなる仕掛けを開発すること。必要に応じてSalesforce以外のクラウドサービスも組み合わせることでビジネスの競争力が上げられるのです」(直海氏)

SBIモーゲージ Salesforceを核としながらレガシーシステムもそのまま統合

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