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» 2015年06月26日 07時00分 UPDATE

女子ヘルプデスクのプロマネ修行奮戦記:じかんのほうそくがみだれる!? プロジェクト管理はSFのセカイ? (1/3)

やっとのことで在宅ヘルプデスク業務開設プロジェクトの「プロジェクト・スコープ記述書」が完成したと思ったら、早くも次なる難関が……。4種類の論理的順序関係って何だ? 先行の作業の開始によって後続の作業が終わる「開始−終了(SF)」関係ってどういうこと?

[鐙貴絵,ITmedia]

これまでのあらすじは

 会社でヘルプデスクを担当する私が、ある日突然、在宅ヘルプデスク部門開設プロジェクトのマネジャーに任命されてしまったから、さぁ大変。鬱憤晴らしで飲みに出かけたら、今度は勢いでPMBOK(ピンボック)とやらを勉強するハメに……。しかもしかも! いつの間にかPMP(Project Management Professional)の資格試験を受けることになっている……。私は在宅ヘルプデスク業務のプロジェクトを成功に導けるのか? PMPの試験に合格できるのか? いや、そもそも、受験できるのか?


 あぁ、やっと何とかまとまったぁ〜。

 何がまとまったのかって? そう、「在宅ヘルプデスク業務開設プロジェクト」のプロジェクト・スコープ記述書(プロジェクトに期待されている成果物は何か、成果物の受け入れ基準は何か、プロジェクトにおける制約条件や前提条件は何か、ということをまとめた文書)ってやつですよ。ヘルプデスクのスタッフや上司Aさんを巻き込んで、何とかまとめあげた。ふぅ。

 みんなの協力のおかげと分かっていても、やはり達成感は大きい。ふふふっ。これで私もプロジェクトマネジャーらしくなってきたじゃない。いつぞや目指していた“できるオンナ”になってきたのよ。きっと今の私をイラストにしたら「ぐへへへへ」と調子づいた顔になっているにちがいない。

Photo イラスト:本橋ゆうこ

 しかし……、ここで達成感を味わっている場合じゃないのよね。まだ、「計画のための計画」ができた段階なのだから。スケジュール管理もリスク管理もこれからだし……。

 プロジェクト・スコープをまとめていて分かったのは、みんなの要求や期待をまとめるのは本当に大変ってこと。もちろん、プロジェクト憲章から外れているようなものは、やんわりとダメ出しできるんだけど、「これは今回のプロジェクト・スコープに含まれるのか?」というあたりの判断が難しかった。

 例えば在宅ヘルプデスク要員の自宅には高速なインターネット接続環境が不可欠で、社内のインシデントデータベースに安全な環境で接続する必要がある。VPNなどのセキュアな接続環境の構築や、在宅ヘルプデスク要員のPCにVPN接続アプリケーションをインストールするための対応などは、確かにスコープに含まれるのだろう。

 しかし、高速なインターネット接続ができない人に環境を構築してあげる(例えば、携帯キャリアのモバイル無線LANルータを貸し出す)とか、そもそもPCを持っていない人にPCを貸し出すとか、そういうのがスコープに含まれるかどうかを検討するのが大変だったのだ。

 なかには「このご時世だから、タブレット端末からでも利用できるようにしよう、そして社内の端末もタブレット化しよう」みたいな、明らかに今回の目的から逸脱したようなアイデアもある。みんなのアイデアって面白いけど、それを吟味するのはけっこう難しいわけで……。

 面白いといえば、スコープが見えてくるとプロジェクト全体が見えてきたような気になることだ。もちろん、何をどこまでするかが明確になっただけであって、実際には全体の規模感はまだよく分かってないのだけれど。

 で、全体の規模(スコープに含まれる成果物を作り上げるのにどれぐらいの期間がかかるのか、何をいつまでにやる必要があるのか)を明確にするために出てくるのが、参考書の次の章にある「プロジェクト・タイム・マネジメント」なわけだ。さすがだね、素晴らしいね、PMBOK(ぴんぼっく)。「何のために」「何を」「いつまでに」という順番で、ちゃんと考えられるようになっているんだねぇ。

 やることがはっきりしてきて、すっかり上機嫌で上から目線なわたし。

 調子づいて足取り(なんで足?)も軽く教材のページを開く。内容を読む前に飛び込んできたのが、WBS(Work Breakdown Structure:作業分解図)やガントチャートの図だ。

 「おぉぉ、これ、見たことある。というか、あっちこっちに貼ってあるし!」

 つい、口走ってしまった。見たことがある図や実際に使っている図を見るとなんとなく安心する。普段から、“何をいつまでにやるか”を明確にするために、ガントチャートは部署全体でよく使っているのだ。ここはあまり勉強しなくて済むかしら? と、いささか不謹慎に素敵な考え(落とし穴、とも言う)が頭をよぎる。

 「うーん。順調順調♪」と、何も学んでいないうちから口に出る。この「順調」には、何の根拠もない。

 「つまりは、これらの図を駆使してスケジュール通りに進めればいいのよね。ぐへへへへ。私って天才マネジャーよね♪」

 ああ、こういう楽天的な言葉が出てくる時って、ロクなことがないのだ。これは、私が「現実逃避モード」に入った証拠なのだから。実は、「計画」とか「計画通りに実行」ってのが、私にとって一番の「天敵」なのよ。

 「計画通り」が私の天敵になったのは、小学生のころだ。私が通っていた小学校では、夏休み前にその夏休みをどのように過ごすのか計画を立てる授業があった。何時に起きて何時に寝るのか、何時に学習を始めて(午前中のうちに勉強をすませなさいってよく言われたものだ)、夏休みの宿題をいつまでに終わらせるのか、といった、夏休み中のさまざまな計画を立てるのだ。

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