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» 2015年06月30日 07時00分 UPDATE

膨大な人工透析データ、iPadで“手間なし入力・管理”へ 病院自らシステム開発

膨大な人工透析の情報、入力と管理の手間を軽減して患者と向き合う時間を増やしたい――。そんな思いから、自力で透析業務支援システムを開発したクリニックがある。

[後藤祥子,ITmedia]
Photo 透析業務支援システム「dottoHD」

 糖尿病で人工透析を受ける患者が年々増えている。人工透析は本来なら腎臓が担う役割を人工腎臓で行う治療で、患者は週3回病院に通い、1回につき4時間を病院で過ごすことになる。

 人工透析はとかく記録や管理が必要な情報が多く、病院側の負担も大きい。血流量や透析条件、動脈と静脈をつなぎ合わせた血液の出し入れ口であるバスキュラーアクセス(VA)、履歴情報、検査結果などを把握しておかなくてはならない。

 患者の足病変を発見するためのフットケアに気を抜けないのも、糖尿病ケアの大変なところだ。皮膚のわずかな損傷が潰瘍や壊疽につながるため、注意深く対応する必要がある。泉南新家クリニック透析センターのスタッフも、多岐にわたる情報の記録や管理に追われ、多忙を極めていたという。

 データ入力の手間を軽減し、情報を一元管理できるようにして作業を効率化できないか――。同センタースタッフのそんな思いから生まれたのが、iPadとFileMakerプラットフォームを使った透析業務支援システム「dottoHD」だ。

現場の誰もがスムーズに使えるよう、極限までシンプルに

Photo 泉南新家クリニック透析センター 情報管理主任の田代庸平氏

 開発を手がけたのは、現場で医療業務に従事し、作業フローの問題点を把握していた情報管理主任の田代庸平氏。ITリテラシーの高くないスタッフでもすぐに使えるよう、「いかにシンプルなシステムにできるか、極限までこだわった」と振り返る。入力作業の省力化を徹底し、実務に必要な機能のみを厳選して搭載することで、現場の誰もが容易に使えるシステムに仕上げた。

 dottoHDには、透析患者のさまざまな情報が集約されている。氏名や年齢、住所などの患者基本情報から感染症・病歴情報、透析スケジュール、目標体重や血流量、抗凝固剤などの透析条件、バスキュラーアクセス(VA)管理、看護計画、履歴情報、血液検査結果などが記録され、iPadからすぐ必要な情報を呼び出せるようになった。導入後は帳票の作成や管理といった事務作業の負担が大幅に軽減されただけでなく、転記ミスの恐れもなくなるなど、安全性も高まった。

sa_fm02.jpgPhoto iPadとdottoHDはフットケアや病状の説明にも役立っている

 事務作業の負担が軽減されたことで、現場スタッフが患者と接する時間が増えたのも、大きな導入効果だったという。iPadで患者の足の状態を撮影し、ベッドサイドで画像を見せながら病状について話せるようになり、患者からも「分かりやすい」と好評を博している。

 泉南新家クリニック透析センターでは、dottoHDを他の病院に使ってもらいたいと考えており、より多くの現場の声を反映させたよりよいシステムに育てたいとしている。

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