トヨタ初の女性役員が逮捕された事件はショッキングだが、それ以上に驚いたのは同社の対応だ。実は昨今の情報セキュリティ犯罪にも通じる、企業として本当に実践すべき有事対応のポイントがみえてくる。
麻薬取締法違反容疑で逮捕されたトヨタ自動車の常務役員だったジュリー・ハンプ氏が辞任した。事件の全容はまだ明らかになっていないが、今回はこの事件について情報セキュリティの視点から考えてみたい。
様々な報道や海外の筆者の友人からの情報をもとに現時点での状況をまとめてみると、事件の経緯は次の通りである。
この事件でまず筆者が驚いたことは、世界を代表する自動車メーカーのトヨタ(2014年グループ売上は25兆円超)であるにも関わらず、女性役員が今まで1人もいなかったことだ。国によってはこれが明らかに法律違反になる状況である。また、パンプ氏の逮捕翌日に豊田章男社長が会見で「かけがえのない仲間。仲間を信じて捜査に全面的に協力する。法を犯す意図がなかったことが明らかになると信じている」と述べたが、突っ込みどころ満載な発言だと感じた。
パンプ氏は当初、小包の中身を「知らなかった」というが、大手新聞には図解入りで小包の中が掲載された。それによれば、おもちゃのネックレスの下に紙袋がありその中に問題の薬が5錠、ペンダントケースの底に13錠、ビニールが敷かれた箱の底に39錠があった。発送した人物は、これだけの量の薬を違法だと知りながら空輸していたのは間違いないと思われるし、ハンプ氏もそれを求めていたはずである。誰かがハンプ氏を失脚させるために仕組んだとは考えにくいし、ハンプ氏は警察や会社にそう弁解した様子もなかった。
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