水道トラブル8000円、スマホ決済でスマートにできる理由(1/3 ページ)

水まわりを中心とした緊急出張メンテナンスを手掛ける企業「アンセイ」が、モバイル決済サービス「Square」を導入。水道トラブルの現場で迅速なクレジットカード決済が求められる理由はどこにあったのだろうか。

» 2015年09月17日 08時00分 公開
[池田憲弘ITmedia]

 現金以外の決済手段として、身近な存在であるクレジットカード。海外旅行やショッピングで便利なのはもとより、手持ちの現金が足りないことに気づいたときにも心強い存在だ。

 この「手持ちが足りない」という事態が起こりがちなのが、出張サービスである。鍵の紛失や水回りのトラブルなど、予測がつかない事態が起こった時に、現金の持ち合わせがなくて困る人は多いそうだ。

 その場ですぐにクレジット決済ができれば――。水まわりを中心とした緊急出張メンテナンスを手掛けるアンセイもそんなユーザーが多い1社だ。同社は水道衛生工事・給排水設備工事・ガス給湯器設置工事・住宅リフォームといった事業も展開しているが、特に出張メンテナンスの際にクレジット決済による支払いを求められることが多いという。

photo アンセイのWebページ

緊急メンテナンスの現場でクレジット決済が求められる理由

 「通常、緊急修理の代金は5000円から1万円程度なのですが、修理をしている途中で新たな修理箇所が見つかったり、最終的に部品交換になるなどして金額が大きくなると、手持ちの現金では間に合わなくなる、というケースがあるのです。『われわれが来るまでにお金をおろせばいい』と思う人もいるかもしれませんが、お客さまとしても緊急事態なので、そういう考えにまで至らないのが普通です」(アンセイ 常務取締役 法人営業部 一条康剛さん)

 こうした事情から、顧客の3割程度がカード決済を希望するという同社では、手書きの複写式伝票を使用するクレジットカード決済に対応してきた。しかし、この方法ではクレジットカード会社へ電話で与信照会を行う必要があり、決済に時間がかかることが問題になっていたそうだ。

 「与信照会を行うためには、複写式の伝票に名前やカード情報を記入してもらい、カード会社に電話で承認番号をもらって……とさまざまな手順を踏むため、決済に5分から10分程度かかっていました。その間にお客さまはずっと待っていることになりますし、もらった決済伝票を紛失してしまうというリスクもあります」(一条さん)

photo 緊急修理を行うスタッフは車で1日あたり5〜6案件を回るのが一般的という

 緊急修理を行う現場スタッフは60人程度いるが、1日あたり5〜6案件を回るのが一般的で、会社に戻らず次の案件に向かうことも多い。大量の伝票や現金を持たせたまま移動することになるため、車上荒らしなどに遭う可能性も見逃せない。

 また、現場スタッフから集めた決済伝票は、期日に合わせて各カード会社に郵送するが、決済伝票をスタッフから回収できるタイミングが読めないため、締め日に処理が間に合わなくなるという問題もあった。「本部による決済伝票の分類・集約プロセスが滞り、締め日に処理が間に合わないと、入金が翌月に繰り越され、キャッシュフローが不安定になるリスクもありました」(一条さん)

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