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» 2015年11月17日 08時00分 UPDATE

CIOインタビュー:成長復活の秘策に? ヤマダ電機が挑む現場改革のいま (1/2)

家電量販トップのヤマダ電機はかつての右肩上がりの成長から近年は業績が伸び悩む。成長復活に向けた現場改革に、どうITを活用しようとしているのか――。

[國谷武史,ITmedia]
ヤマダ電機 成長復活に取り組むヤマダ電機

 約7兆5000億円規模とされる国内家電市場で売上高トップの座にあるヤマダ電機。2010年3月期には業界初の売上高2兆円を突破し、翌2011年3月期に過去最高の2兆1532億円の売上高を達成したものの、ここ数年は減収基調が続く。2015年は46店舗を閉鎖しつつ東京駅八重洲口への進出など出店攻勢もかけ、成長復活に向けた様々な施策を打つ。

 その中で販売現場の改革にITを活用する取り組みが進められている。マイクロストラテジー・ジャパン主催の「Retail Executive Summit 2015」でこの施策を紹介した取締役兼執行役員専務 CIOの飯塚裕恭氏に話を聞いた。

先細りの国内市場

 1973年創業のヤマダ電機は、群馬県の“街の電器店”としてスタートし、1990年代から2000年代にかけて47都道府県に進出した。また、ベスト電器や住宅メーカーのエス・バイ・エル(現ヤマダ・エスバイエルホーム)などのグループ化も推進し、店舗網と業態の拡大も図ってきた。

 こうした右肩上がりの成長期には、年間数十店舗を新規にオープンさせるなどハイペースで出店攻勢をかけていたことから、その成功には店舗オペレーションの徹底した効率化に代表されるローコスト経営が不可欠だった。1999年には業界初のPOSシステムや物流センターを構築するなど、業界他社に先駆けたIT化にも取り組んできたという。

 「成長期には採用した人材がすぐに活躍できるようオペレーションを標準化する必要があります。例えば発注業務なら、仕入れる商品や量、確保すべき在庫、追加発注のタイミングなどをシステム化しました。物流でも、従来はメーカーの商品が送り先の異なる混載で納品される仕組みでしたが、当社のセンターが対応することで効率化を図り、店舗での検品作業も不要にすることで、販売に専念できる環境をいち早く実現させました」(飯塚氏)

 国内の家電市場は、2008年の金融危機に直面しても約9兆円規模に急拡大した。その背景にあるのは「エコポイント」に代表される政策の効果だと言われる。しかし実際には需要を先取りしただけとの指摘もあり、市場規模は2014年に7兆5400億円台(ジーエフケー マーケティングサービス ジャパン調べ)に戻ってしまった格好だ。

 同社は2011年に過去最高業績を記録しているが、既に店舗網が国内に行き渡り、1店舗あたりの売上高も減少するようになったという。現在まで国内経済は鈍い回復基調にあるが、家電を含めた流通全体の先行きは決して明るいばかりではない。飯塚氏は、人口減少や電子商取引の拡大などによって、「従来と同じことをしているだけでは、先細りしていくのは明白です」と話す。

復活のヒントは現場に

 飯塚氏は2014年から毎週末に全国の店舗を巡回し、店長や売場責任者と現場が抱える問題や意識などについて会話を重ねているという。そこで感じたことは、現状を打破したいという社員の気概だった。

 「成長期は本部主導で売上が右肩上がりに増えていくので、何も困らなかったわけです。しかし厳しい状況に直面していることで、いまのヤマダ電機には何が足りないのか、何をすればいいか、現場では一人ひとりが真剣に考えてくれているのが分かりました。もはや本部が主導するだけの時代ではなくなったと痛感しています」(飯塚氏)

 現場とのコミュニケーションでは担当者のモチベーションを取り戻すことに力を入れているという。飯塚氏が訪れた店舗ではその翌週に売上が数%アップすることもあったといい、「こういう時代だからこそ、人が大切です」と、現在はシステムの中で現場のモチベーションが高まる仕組みづくりを進めている。

 その一例が、現場で利用するタブレット端末へのPOSレジ機能の組み込みだ。これによって接客から決済までが売場で完結するため、スタッフが売場とレジの間を往復したり、来店客がレジの前に並んだりする“ムダ”がなくなる。接客へ集中できれば購入商品プラスアルファの付加価値を提案する機会も生じる。

 「例えば、便座を購入されたお客様のトイレが古いなら、『この機会に節水型の最新モデルにリフォームしてはいかがですか』と提案できるでしょう。水回りのリフォーム費用は数十万円ほどですし、売場としてもお客様にメリットのある提案がしやすくなります」(飯塚氏)

 さらに、現場のコミュニケーションを活性化させる仕組みをタブレット端末の中に組み込むことにしている。

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