2015年にやり残していたこと――それは「アップグレード」半径300メートルのIT

新年も本格始動していますが、昨年にやり残したことは早めに片付けおきたいところ。私の場合、それはセキュリティソフトでした。その理由をご紹介します。

» 2016年01月19日 08時00分 公開
[宮田健ITmedia]

 お正月が終わってもう3週間。そろそろ皆さんも“通常運転”に戻ってきたころでしょうか。私もこのコラムのネタ探しをするためにネットを見ていたところ、あるWebサイトの広告で「このバナーを見た方に限り、セキュリティ対策ソフトを格安で手に入れられます!」というような表示が目に入りました。ちょうど自分が使っていたソフトだったので、安くていいなあと思っていたのですが、見慣れたパッケージではありませんでした。そして製品名には大きく「2016」の文字が。あっ! バージョンアップするのをすっかり忘れていた!

セキュリティ対策ソフトは「パターンファイルのアップデート」だけではダメ!

 皆さんもご存じのように、セキュリティ対策ソフトはパターンファイル(定義ファイル、シグネチャなどともと呼ばれるもの)を常にアップデートする必要があります。これは「マルウェア」と呼ばれる悪意あるファイルの「特徴」を納めたもので、これと照らし合わせることでメールに添付されたファイルやインターネットからダウンロードするファイルが「これまで指名手配されているような悪いものではないか?」を確認しています。指名手配書が常に更新されていれば、既知のマルウェアはシャットアウトできるのです。

 通常、皆さんのPCに入っているであろう、セキュリティ対策ソフトは1年程度の期間利用が可能なライセンスを購入していると思います。その期間内であれば、このパターンファイルのダウンロードを行う権利が入っています。それに加え、ほとんどのセキュリティ対策ソフトベンダーは、「期間内であれば最新の製品に無料でアップグレードできる」という権利も付いているはずです。

 「パターンファイルがアップデートされていればアップグレードなんて不要では?」と思うかもしれません。しかし、ほとんどのアップグレードは新たな機能を追加した形でリリースされます。セキュリティ対策を行う企業ですから、その新たな機能は「ここ1年で登場した新たな攻撃」や「今後発生するであろう攻撃」への対策も含まれているはずですので、アップグレードをしない理由はありません(無料ですし)。そして、2016年版はタイミングとしても「Windows 10」に完全に対応したものが出てきています。新たなOSにしたという方は、特にアップグレードをお勧めします。

 個人的には、2015年末に話題になった身代金要求ウイルスことランサムウェア対策の「バックアップ機能」や、公衆無線LANでも安全に使える「個人向けVPN機能」がセキュリティ対策ソフトに内蔵されてくれるとうれしいと思っていましたが、さすがにまだ搭載されていないようです。

パターンファイルだけでなく、年末には「ソフト本体」もアップグレードしよう!

 こんなことを言っている私も、すっかりその「本体のアップグレード」を忘れていたというのが今回のオチで、この失敗を皆さんにシェアすることでなんとかプラスにしたいと思います。言い訳をすると、今の私の契約が「3年」で、その間は何も通知がなかったことが原因かもしれません(しかもメールマガジンなどのお知らせも「希望しない」としていたことも……)。

 ほとんどのセキュリティ対策ソフトは、毎年11月ごろに新バージョンをリリースしています。もしまだ皆さんのセキュリティ対策ソフトが「2015」のままだったら、最新版を探してみてください。

 セキュリティ対策ソフトは、万が一のときの最後の砦です。これも他のアプリと同様、定期的にアップグレードを行うようにしてください。もし契約が切れていたという方は、ぜひ再度契約を。

著者紹介:宮田健(みやた・たけし)

デジタルの作法 『デジタルの作法』

元@ITの編集者としてセキュリティ分野を担当。現在はフリーライターとして、ITやエンターテインメント情報を追いかけている。自分の生活を変える新しいデジタルガジェットを求め、趣味と仕事を公私混同しつつ日々試行錯誤中。

筆者より:

2015年2月10日に本連載をまとめた書籍『デジタルの作法〜1億総スマホ時代のセキュリティ講座』が発売されました。

これまでの記事をスマートフォン、セキュリティ、ソーシャルメディア、クラウド&PCの4章に再構成し、新たに書き下ろしも追加しています。セキュリティに詳しくない“普通の方々”へ届くことを目的とした連載ですので、書籍の形になったのは個人的にも本当にありがたいことです。みなさんのご家族や知り合いのうち「ネットで記事を読まない方」に届けばうれしいです。


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