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» 2016年05月09日 07時00分 UPDATE

即席!3分で分かるITトレンド:コレ1枚で分かる「IoTとモノのサービス化」

現実社会の行動や出来事をデータ化する仕組みとして注目が集まっているIoT(Internet of Things)。さまざまな機器から得られたデータは、どのような価値を生み出そうとしているのでしょうか。

[斎藤昌義(ネットコマース株式会社),ITmedia]

この連載は

 カップめんを待つ間に、電車の待ち時間に、歯磨きしている間に“いまさら聞けない”ITトレンドが分かっちゃう! 今さら聞けないITの最新トレンドやビジネス戦略を、体系的に整理して分かりやすく解説する連載です。「この用語、案外、分かっているようで分かっていないかも」「IT用語を現場の社員にもっと分かりやすく説明できるようになりたい」――。情シスの皆さんのこんな課題を解決します。


 現実社会の行動や出来事をデータ化する仕組みとして注目が集まっているIoT(Internet of Things)。では、集めたデータは、どのような価値を生み出そうとしているのでしょうか。その1つが、「モノのサービス化」です。

ソフトウェアによる制御や自律化が可能に

 「モノのサービス化」の前提として、「モノのSD化」があります。SD(Software Defined)とは、「ソフトウェアで定義された」あるいは「ソフトウェアで規定する」という意味です。下図をご覧ください。

Photo 【図解】コレ1枚で分かる「IoTとモノのサービス化」

 1953年に就航した旅客機「ダグラスDC-7」のコックピットは、さまざまなメーターや操縦桿、レバーやスイッチなどで埋め尽くされています。これらのハードウェアは、エンジンや燃料タンクのセンサーに直接つながってそのデータを表示したり、昇降舵(だ)やフラップを動かしたりしますが、直接的に航空機の状態を監視し、操作しているのは人間です。また、性能の改善のためのハードウェアの交換や故障の修理などには、当然、物理的作業を必要としました。

 一方、2011年に就航した「ボーイング787」は、操縦や操作の多くをソフトウェアを介在して行います。例えば、運航に関わるさまざまなデータは、いったんソフトウェアで処理され、自動で必要な操作を行ったり、必要な情報を整理、選択して液晶画面に表示させたりするのに利用されています。

 操縦桿は、フライ・バイ・ワイヤといって、人間の操作した動きをセンサーで読み取り、電気的な信号に置き換えることで操作しています。これにより、人間の操作を補完し、さまざまな機器との協調・連携を自動化して、最適な飛行を実現しています。つまり、航空機というハードウェアは、ソフトウェアによって操作されているわけです。

 これは、ソフトウェアが航空機というハードウェアの機能や性能を規定し、操作性や燃費効率を左右しているということでもあります。つまり、モノの機能や性能のかなりの部分が、ソフトウェアによって定義されたり規定されたりしているのです。

 この方法により、ソフトウェアに手を加えることで機能や性能、操作性を改善したり、燃費を向上させたりすることが可能になります。また、遠隔地からの保守点検や、ソフトウェアに自己点検や修復などの自律化機能を持たせて人間の介在なしに保守作業を行うことができるようになります。これが、「モノのSD化」です。この取り組みは、航空機だけではなくその他のモノにも広がりつつあります。

Photo 【図解】コレ1枚で分かる「IoTとモノのサービス化」

常に最適なモノを、最新のサービスを

 「モノのSD化」によって、モノづくりは、「性能や機能の優れたモノをつくること」を目指すことから、「常に最適なモノを使い続けてもらうこと」を目指すことへ変わりはじめています。つくった後のことまで考え、それを支えていくモノづくりが求められます。つまり「モノのサービス化」というパラダイムシフトが、起ころうとしているのです。

 「モノを使うこと」の最適化を実現するには、モノの状況をデータとして捉える仕組みが必要となります。これがIoTです。

 モノに組み込まれたセンサーが、モノのさまざまな状況をデータ化し、ネットワークを介してメーカーに送ります。メーカーは、それを解析して状況を把握し、モノに組み込まれたソフトウェアを改修したり更新したりすることで、機能や性能、操作性を改善します。

 また、集められたデータは、より優れた製品を開発するための情報としても用いられます。ハードウェアは、そんなソフトウェアとの関係を前提に機能や性能をつくっていかなければならないのです。

Photo

 さらに、得られたデータから新たなサービスを生み出すことができます。例えば、ジェットエンジンの運行情報をデータとして収集し、その解析データを使って、燃費効率の高い飛行方法を指導するコンサルティングサービスや、PBL(Performance Based Logistics)といわれるサービスが登場しています。PBLとは、個々の作業や部品の調達に対価を支払うのではなく、可動率の確保や修理時間の短縮といった成果(パフォーマンス)に対価を支払うサービスです。

 また、自動販売機に気象センサーやカメラ、人感センサーを取り付け、それらを分析して、きめ細かな地域別の気象情報を提供したり、マーケティング情報を提供したりする情報サービスなどもあります。製品そのものの付加価値を高めるだけではなく、集めたデータを使った新たなビジネスの展開へと可能性が広がります。

 モノを作り提供することから、使い続けてもらうことへ、さらに、データそのものを価値として顧客に提供することへ――。このような一連の取り組みが「モノのサービス化」なのです。

著者プロフィル:斎藤昌義

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 日本IBMで営業として大手電気・電子製造業の顧客を担当。1995年に日本IBMを退職し、次代のITビジネス開発と人材育成を支援するネットコマースを設立。代表取締役に就任し、現在に至る。詳しいプロフィルはこちら。最新テクノロジーやビジネスの動向をまとめたプレゼンテーションデータをロイヤルティーフリーで提供する「ITビジネス・プレゼンテーション・ライブラリー/LiBRA」はこちら


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