IIJがクラウドで“反撃ののろし” 国内シェアトップの勝算はWeekly Memo(1/2 ページ)

IIJが企業向けクラウド基盤サービス市場で5年後に国内シェアトップを目指すと宣言した。同市場は今後、ますます激戦区になると見られている。果たして勝算やいかに。

» 2016年05月16日 07時00分 公開
[松岡功ITmedia]

外国勢に挑戦状、クラウド市場で“反撃ののろし”

 「企業向けクラウド基盤サービス市場で5年後に国内シェアトップを目指す」―― インターネットイニシアティブ(IIJ)の勝栄二郎社長は5月13日、同社が開いた2015年度(2016年3月期)連結業績および今後の事業戦略を説明した記者会見でこう宣言した。外資系ベンダーが先行する市場で国産のIIJが“反撃ののろし”を上げた格好だ。

Photo IIJの記者会見。右から鈴木幸一会長、勝栄二郎社長、渡井昭久 常務取締役CFO

 果たして勝算はあるのか。同社はクラウドサービスのキーとなる数字もかなり明らかにしているので、その内容を紹介しながら勝算の核心に迫ってみたい。

 まず、クラウド事業における2015年度の売上高は140億9000万円で、前年度比14.9%増と好調に推移した。同年度の全売上高1406億5000万円(前年度比14.3%増)に占める割合はまだ1割程度だが、同社では成長事業の1つと位置付けている。好調に推移した要因について勝氏は、「基幹業務システムのクラウド化需要が高まってきている」ことを挙げた。これは注目すべきポイントである。

 2016年度(2017年3月期)におけるクラウド事業の売上高も引き続き好調に推移すると見て、前年度比15.0%増の162億円を計画している。同年度では、2015年11月末に提供開始した新クラウドサービス「IIJ GIOインフラストラクチャーP2」(以下、IIJ GIO P2)が本格的に寄与する形になり、「大口案件を含む中長期での業績貢献に期待している」(渡井昭久 常務取締役CFO)という。

 IIJはかねてクラウドサービスとして、オンラインで手軽に導入できる「IIJ GIOホスティングパッケージサービス」と、多様なITリソースを組み合わせてシステムを構成できるオーダーメイド型の「IIJ GIOコンポーネントサービス」を提供してきた。

 IIJ GIO P2はこの2つのサービスを進化させ、より信頼性と処理性能を高めたパブリッククラウドと、オンライン申し込みで即時利用を可能にしたプライベートクラウドを1つに融合したサービスとして仕立て上げたものだ。端的にいえば、クラウド市場で今、最も注目を集めているホステッドプライベートクラウドサービスである。

 IIJはこのホステッドプライベートクラウドサービスについて、自社のサービスの1つとして早くから手掛けてきた。また、2014年7月14日掲載の本コラム「IIJとマイクロソフトの協業が映し出すクラウドの主戦場」で記したように、マルチクラウド環境でこのサービスを生かす取り組みにも注力してきた。IIJ GIO P2はそうしたプロセスを経て、同社ならではのホステッドプライベートクラウドサービスを実現したものである。

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