巨人AWSが説く、クラウド移行で重要な2つのポイントWeekly Memo(1/2 ページ)

クラウドと言うと、つい技術寄りの話になりがちだが、AWSが「経営視点」で企業ITのクラウド化について説く機会があったので、その内容を取り上げたい。

» 2016年06月06日 14時00分 公開
[松岡功ITmedia]

クラウド活用でビジネスは30%伸びる

 「クラウドを有効活用したビジネスは30%伸ばせるという手応えがある」――。こう語るのは、米Amazon Web Servicesのマーケティング担当副社長を務めるアリエル・ケルマン氏だ。同社の日本法人であるアマゾンウェブサービスジャパンが6月1日から3日間、都内ホテルで開催したプライベートイベント「AWS Summit Tokyo 2016」の初日の講演でのひとコマである。

 その講演は、同社がユーザー企業の経営層を招いたエグゼクティブトラックの1セッションで、テーマは「クラウドジャーニー〜クラウドで変わる企業」。つまり、経営視点で企業ITのクラウド化について説いたものである。その内容が興味深かったので、ここで取り上げておきたい。

Photo 米Amazon Web Servicesのマーケティング担当副社長を務めるアリエル・ケルマン氏

 ケルマン氏はまず、企業のIT活用について「もし、大事なことにもっと多くのリソースを使えるとしたら? しかもより速く、よりセキュアに対処できるとしたら?」と、疑問を投げかけた。この問題意識が「クラウドジャーニー」の出発点だという。

 では、同氏が言うクラウドジャーニーとはどのようなものか。図1がトラディショナルIT、すなわち、現在の多くの企業に見られるITの仕組みである。ビジネスに直結するプロダクト&サービスをはじめ、バックオフィスシステム、エンドユーザーコンピューティングをインフラが支え、それら全てに情報セキュリティが施されているという構図である。

Photo 図1:多くの企業に見られるトラディショナルITの仕組み

 この図1の仕組みがクラウドに移行すると、図2のクラウドファーストであるべき姿になる。といってもシンプルすぎて少々分かりづらい図だが、要は、インフラにはIaaS/PaaSが適用されて図からも省かれ、バックオフィスシステムやエンドユーザーコンピューティングにはそれぞれSaaSが適用されることを意味している。

Photo 図2:クラウドファーストであるべき姿

 ケルマン氏によると、図2のポイントはITの仕組みではなく、クラウド全体をマネジメントするとともにプロダクト&サービスをさらに伸ばすための全社横断的なクラウド活用組織として「クラウドCoE(Center of Excellence)」を設置することだ。この組織が従来のIT部門の新たな役割になればいいともいう。

 こうした態勢をとってプロダクト&サービスに注力することができれば、同氏の冒頭の発言にあるように、ビジネスを30%伸ばせるというわけだ。この手応えは、これまで多くのAWSユーザーによって示されてきた実証に裏付けられているという。

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