クラウドERP、7割強が「利用しない」も5年後に急減か

多くの企業が現時点では利用しない意向だが、10年後は大幅に減ると予想されている。

» 2017年02月06日 13時58分 公開
[ITmedia]

 ERP(Enterprise Resource Planning)システムについて、現時点では企業の73.8%がクラウド型を利用しない意向にあるという。ガートナー ジャパンが2月6日に公表した調査の結果で明らかになった。

 しかし今後も利用しないとの意向は、5年後には24.8%、10年後には15.6%に急減。一方で自社運用型のERPをクラウド型に置き換える意向の企業は、現在の4.3%から10年後は28.0%に急増する見込みだという。

クラウドERP

 クラウド型ERPで意向の高い業務用途は、財務会計の73.5%を筆頭に、販売管理(57.5%)、人事給与(53.4%)が続く。これについて同社は、「制度変更への対応や業務の標準化・効率化に主眼が置かれ、『記録システム』の側面が強い管理系ERPの領域でクラウドERPの利用を考える企業が多い」を解説。管理系ERPとは、財務や人事、調達などの管理系業務の標準化と、これらの業務機能によって実現される正確な情報の記録と提供が重視されるERPと分類している。

 また管理系ERPに対して、「差別化システム」の側面が強い生産管理や販売管理などの実行系ERPでは、クラウド型に対して外出先からモバイルアクセスや、複数拠点で同じ仕組みを共有しやすいといった用途への期待が高い。クラウド型ERPに対する期待のトップ3は、「導入コスト」「利用コスト」「セキュリティ」で、懸念のトップ3は「利用コスト」「セキュリティ」「サービスの存続性」だった。

クラウドERP

 調査結果についてリサーチ部門リサーチ ディレクターの本好宏次氏は、クラウド型ERPについて企業の意向は懸念より期待が全般的に目立つと指摘、中長期的には何らかの形でクラウド型ERPを利用する企業が主流となる可能性が高い分析する。ERP導入に関わるIT担当者は、ベンダーの戦略やソリューションのポートフォリオ、ロードマップが自社の方向性と合致しているかを評価し、長期的なERP戦略に沿った形で全体像を描くことが求められるとアドバイスする。

 調査は、従業員数20人以上のITユーザー企業約2800社を対象に実施したもの。クラウド型ERPについては、SaaS型やIaaS上で稼働するソフトウェアといった形態別ではなく、「クラウドERP」としてイメージされるものについて回答を募ったとしている。

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