伊藤忠商事は2020年度からの本格稼働を目標に、基幹システムを全面的に刷新する。
伊藤忠商事は7月28日、2001年度から稼働している基幹システムを全面的に刷新すると発表した。2018年度から段階的に新システムに移行し、2020年度から本格稼働する計画だ。
新システムではERPに「SAP S/4HANA」や、基盤に伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)の基幹系特化型クラウドサービス「CUVICmc2」を採用する。SAP S/4HANAを総合商社が導入するのは同社が初めて。
2016年3月期決算で連結純利益が業界トップとなった伊藤忠商事は、商社新時代をリードする次世代情報システム構築を目指し、今回の刷新を決定した。SAP S/4HANAは、大量の取引情報をリアルタイムに処理するプラットフォームとし、多様な経営管理情報を蓄積するデータベースとしても活用していく。
CTCのCUVICmc2は、多種多様な経営管理情報の迅速な検索ニーズに対応できる。従量課金制でシステム開発の工程から運用も含めてコスト削減の効果を見込めることなどから採用した。
伊藤忠商事では、業務効率の向上やビジネスリスクの早期把握だけでなく、事業会社からの効率的な経営情報収集やグループ間での取引先情報の共有、資金の有効活用支援など、連結経営に必要となる機能を拡充していく。モバイルソリューション機能も活用し、働き方に応じた多様なシステム利用環境を実現していくという。
SAPによれば基幹システムをクラウドで利用する流れは全業種で進んでおり、今回の刷新もこれに沿うもの。一方、インメモリ技術を搭載したERPの導入で連結経営強化を狙う手法は、情報の鮮度を重視する商社でもこれまでになかった取り組みだ。
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