第36回 Open vSwitchで作るDockerのネットワーク(OVSを管理する編)古賀政純の「攻めのITのためのDocker塾」(2/2 ページ)

» 2017年02月15日 07時30分 公開
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OVSのGUI監視ツールをDockerコンテナで稼働させてみる

 今回構築したシステムに、GUIベースのOVS監視ツールを導入してみましょう。OVSの監視ツールは、ホストOSに直接インストールすることも可能ですが、Dockerコンテナとしても稼働させることができます。今回は、オープンソース・ソフトウェアとして提供されている監視ツール「Open vMonitor」をDockerコンテナとして稼働させてみます。この場合のシステム構成は、以下の通りです。

Dcoker OVS監視GUIを組み込んだシステム構成

 実際に、OVSの監視ツールをDockerコンテナで稼働させてみましょう。まずは、ホストOS上で準備が必要です。管理者からOVSが持つデータベース接続を有効にするため、以下のように入力します。


# ovs-vsctl set-manager ptcp:6640

 上記により、TCPポート6640番で接続をリッスンします。次に、ホストOS上でOpen vMonitorのコンテナを起動します。Open vMonitorは、ホストOSの3000番ポートを使います。そのため、コンテナ起動時に「-p」オプションを使って、3000番ポートを指定します。以下の例の「-p 3000:3000」により、管理者はホストOSの3000番ポートを使ってアクセスすると、Open vMonitorコンテナの3000番ポートにアクセスできます。今回は、コンテナ名およびコンテナのホスト名を「ovsgui01」としました。


# docker run -d -p 3000:3000 --name ovsgui01 -h ovsgui01 plvisiondevs/open_vmonitor

 OVSの監視ツールがDockerコンテナとして起動したのかを確認します。


# docker ps -a
CONTAINER ID   IMAGE                        COMMAND     ... PORTS                     NAMES
08d968c4c4f7   plvisiondevs/open_vmonitor   "npm start" ... 0.0.0.0:3000->3000/tcp   ovsgui01

 Open vMonitorコンテナが起動しましたので、クライアント上のWebブラウザからアクセスします。すると、下のような画面が表示されます。ユーザー名に「admin」、パスワードに「admin」、接続先の「Enter OVSDB IP」の欄に、OVSが稼働するホストOSのIPアドレスである「172.16.1.100」を入力し、「Connect」をクリックします。

Dcoker Open vMonitorコンテナが提供する監視GUIのログイン画面

 ログインすると、OVSの状況を管理する画面が表示されます。

Dcoker Open vMonitorコンテナが提供する監視GUIで、仮想ブリッジbr-exの状況を確認

 以上でDockerコンテナで稼働するGUIベースの監視ツールにより、WebブラウザからOVSの状態が確認できました。

 第34回から今回まで、OVSを使ってホストOSとコンテナが同一LANセグメントに所属できる非常に単純なネットワークを構築する手順や、Dockerコンテナで稼働するOVSのGUI監視ツールの起動手順などをご紹介しました。OVSを使えば、Docker環境においてもトンネルを使った複雑なオーバレイ・ネットワークだけでなく、フラットで単純なネットワークを簡単に作ることができます。OVSについては、筆者が書籍「OpenStack 実践ガイド」)でOVSを使ったソフトウェア定義型ネットワークの設定例や、さらに詳細な図を掲載しています。拙著ながら、OVSを使ったIT基盤を検討する際の参考にしていただけると幸いです。

 また、OVSについては、以下のURLにも情報が掲載されています。英語ですが、参考になりますので、一読をお勧めします。


古賀政純(こが・まさずみ)

日本ヒューレット・パッカード株式会社 オープンソース・Linuxテクノロジーエバンジェリスト。兵庫県伊丹市出身。1996年頃からオープンソースに携わる。2000年よりUNIXサーバーのSE及びスーパーコンピューターの並列計算プログラミング講師、SIを経験。2006年、米国ヒューレット・パッカードからLinux技術の伝道師として「OpenSource and Linux Ambassador Hall of Fame」を2年連続受賞。プリセールスMVPを4度受賞。現在は日本ヒューレット・パッカードにて、Hadoop、Spark、Docker、Linux、FreeBSDなどのサーバー基盤のプリセールスSE、文書執筆を担当。日本ヒューレット・パッカードが認定するオープンソース・Linux テクノロジーエバンジェリストとして、メディアでの連載記事執筆、講演活動なども行っている。Red Hat Certified Virtualization Administrator, Novell Certified Linux Professional, Red Hat Certified System Administrator in Red Hat OpenStack, Cloudera Certified Administrator for Apache Hadoopなどの技術者認定資格を保有。著書に「OpenStack 実践ガイド」「Docker 実践ガイド」「CentOS 7実践ガイド」「Ubuntu Server実践入門」などがある。趣味はレーシングカートとビリヤード。古賀氏の最新記事が読めるブログはこちら


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