MyAnalyticsは、AIを活用して社員に気付きを与えることも可能だ。
例えば、自らが残業時間中に発信したメールが、受信者に対して、多くの残業を強いる結果になっていることをAIが指摘。「緊急性がないメッセージは翌朝まで保存しておきましょう」と指示する。また、会議のデータをもとに、同じ部門の特定の人と3割以上の会議に重複して出席している場合はそれを指摘し、「分担することで両方の予定表に余裕ができます」と提案する――といった具合だ。
日本マイクロソフトはMyAnalyticsのAI機能を強化する方針で、2017年春のアップデートでグループ分析への対応を計画している。具体的には、チーム単位での時間の使い方とコラボレーション状況を可視化するグループ分析機能を追加する予定だ。また、2017年夏には、有償の早期導入特別プログラムにおいて、事業優先順位に沿ったカスタマイズレポートの作成による詳細分析を行う機能を提供。これを「Workplace Analytics」とし、CRMや人事システムと連携させることで、組織を横断した分析をさまざまな視点から行えるようにするという。
同社コーポレートコミュニケーション本部の岡部一志本部長は、「今回のMyAnalyticsの採用をきっかけに、働き方改革を次のステップに進化させることになる。働き方改革の第2章が始まる」と意気込む。
同社では、2011年2月の本社移転を機に、フレキシブルワークスタイルを導入。フリーアドレス制の導入に加え、モバイルワークや在宅勤務に対応すべく、制度面やシステム面の刷新を行った。
2012年にはテレワークの日を設定し、全社員が本社に出社せずに、在宅勤務やリモートワークをする取り組みを行った。2014年からはテレワーク週間として、他社を巻き込んだテレワーク推進に取り組んでいる。テレワーク週間は毎年の恒例行事となり、2016年には833社の企業が賛同企業として参加するまでの規模に拡大した。
岡部氏は、「働き方改革は、AIによる気付きを生かして仕事の質を向上させる第2章に入った」と説明。社員の健康管理や長時間労働の抑制、会議の効率化を目指し、そこに最新技術を活用していくという。これには、MyAnalyticsの採用だけでなく、業務に適した資料やコラボ相手をレコメンドする“知の共有のためのツール”「Office Delve」の活用や、会議室へのスタンディングデスクの導入、Surface Hubの活用なども含まれるという。
Office 365は、単なるWordやExcelのクラウド版だと思われがちだが、実は自分自身の働き方を見直し、働き方を変えるヒントを与えてくれる機能を備えているのだ。
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