村林氏はまた、MUFGのクラウド活用におけるポイントについて、次の6つを挙げた。
では、MUFGは今、AWSクラウドをどれくらい使っているのか。村林氏によると、「AWS本格活用から約1年半が経過し、利用可能サービスは10以上。本番稼働5システム、開発中および検討案件を合わせると100超」だという(図2)。
村林氏は最後に、「そうは言っても活用はまだまだスタートしたばかり。この活用をさらに進化させていくために、サービスの拡充、あるいはスキル要因の拡大をしながら、実現機能を拡大し、移行対象エリアを拡大することで、イノベーションの促進や開発スピードの向上、コスト削減、そして自律的なインフラサービスを目指していきたい」と説明(図3)。
その上で、「AWSはIT業界のシェアリングエコノミーだと思っているので、みんなで活用して、みんなで進化させていきたい」とも語った。
ただ、村林氏の話の中では、既存システムに触れた部分はあったものの、具体的なクラウド化の流れを示した説明はなかった。ましてや、勘定系システムのクラウド化への言及はなかった。
果たして、勘定系にパブリッククラウドが適用される日が来ることはないのか。30数年来、折りに触れて銀行システムの取材をしてきた経験から、当面はありえないと考えるが、今後10年もたてばどうなっているか分からない。
キーワードは「移行」ではなく「刷新」ではないか。なぜかといえば、今後、経済社会における銀行の役割や業務内容が変化する可能性があるからだ。それに伴ってシステムのあり方も変わる。この話はそうした視点で捉えなければいけないだろう。
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