Windows 10 Fall Creators Updateの影響を考えるEnterprise IT Kaleidoscope(1/2 ページ)

Windows 10のアップデートが、春と秋の年2回、定期的に行われることになった。次のFall Creators Updateの機能については、まだ全貌が見えたわけではないが、企業ユーザーにどんな影響があるのか考えてみよう。

» 2017年06月28日 09時00分 公開
[山本雅史ITmedia]

 Windows 10 Creators Updateが2017年4月にリリースされてからしばらく時間が空いてしまったが、その間に、さまざまな情報が公表された。今回は、Windows 10の現状を改めて整理し、Fall Creators Updateへ向けて、どんな影響や変更が予想されるか見ていこう。

Windows 10のアップデートは年2回固定に

 Microsoftは、Windows 10を今後年2回のペースでアップデートしていくと発表した。さらにアップデートの時期も、春(3月)、秋(9月)に固定された。これにより、企業ユーザーにとっては、Windows 10のアップデート時期がはっきりしたため、クライアントOSのアップデートを行うスケジュールが立てやすくなったと言える。ちなみにWindows Serverも年2回のアップデートが発表されている。Windows ServerのアップデートはSA(Software Assurance)ユーザーが対象だ。

 4月に配信が始まったWindows 10 Creators Updateは、企業ユーザーにとっては積極的にアップデートしようというモチベーションにつながる機能が少なかった。

 この連載では、Creators Updateの新機能として、Webブラウザ「Edge」の仮想化を押していたが、リリースの直前にこの機能は外されたようだ。コード的には、Creators Updateに入っているものの、利用できるようにはなっていない。Edgeの仮想化は、Fall Creators Updateで提供される予定だ。Microsoftによると、「多くの機能をInsider Previewに搭載しているが、さまざまな事情で直前に搭載を延期することもある」という。今後もInsider Previewの機能を紹介していくと、同じようなことが起こる可能性があるが、そこはご容赦いただきたい。

de:code 2017 Creators Updateでは、企業向けの機能として、クラウドでWindows 10の管理ができるWindows Analyticsや、Active Directory環境でWindows Helloが提供された。ただし、Windows Server 2016のActive Directoryが必須(de:code 2017の講演資料から引用)

 さて、2017年秋にリリースが予定されている「Fall Creators Update」に関しては、現状は企業向けの機能よりもコンシューマー向けの機能が中心に紹介されている。Fall Creators Updateの企業向け機能の詳細はもう少し待つ必要がありそうだ。

 コンシューマー向けの機能として紹介された中でも、企業ユーザーにとってメリットがあると思われるのが「TimeLine」という機能だ。TimeLineは、OSがアプリケーションの動作状態を記録して、TimeLineでリスト表示されたアプリケーションを、再度簡単に呼び出すことができる。

 面白いのは、アプリケーションだけでなく、作業中のデータも同時にロードされ、作業途中の状態に戻してくれる点だ。例えば、金曜日に作業していたExcelやWordの内容を、月曜日の朝に簡単に呼び出せる。金曜日に作業を中断した直前の状態に戻してくれるため、月曜日の朝にすぐに作業にかかれるわけだ。

 さらにTimeLineでは、対応しているアプリケーションなら、複数のPC(デスクトップPC、ノートPC、タブレット)、iPhone/iPadやAndroidスマホ/タブレットなどのデバイスに渡って、アプリケーションの状態を戻すこともできる(これを実現するためには、個人が特定できるMicrosoftアカウントが必要になるだろう)。

Build 2017 TimeLineは、Windows 10で起動したアプリケーションの状態を時系列に記憶している。リスト表示からアプリケーションのサムネイルをクリックすれば、すぐに作業を終了したときの状態に戻してくれる(Build 2017の基調講演資料から引用)

 例えば、外出時に使っていたiPadで作業中だったPowerPointのデータを、会社のデスクトップPCでプレゼンテーションのためにPowerPointで作業する際に、TimeLineで呼び出せる。つまり、マルチデバイスでアプリケーションをシームレスで利用できるようになる。

 ただし、TimeLineで複数のデバイスに渡って利用できるアプリケーションは、当初Office 365のアプリケーションなど限定されるだろう。これは、TimeLineをマルチデバイスで利用するには、Microsoftが新しく提供したProject RomeというSDKをアプリケーションがサポートしている必要があるためだ。現在Project Romeでは、Windows 10、iOS、AndroidなどのSDKをGitHubで提供している。

Build 2017 TimeLineは、デバイスをまたいでサービスを提供できる。デスクトップで作業中だったPowerPointをiPhoneに引き継ぐこともできる(Build 2017の基調講演資料から引用)
Build 2017 TimeLineは、Project Romeというテクノロジーがベースになって開発されている(Build 2017の基調講演資料から引用)

 企業ユーザーにとっては、Creators Updateは積極的にアップデートしようという気になりにくいモノだった。Fall Creators Updateに関しても、現状ではコンシューマー向けの機能が前面に押し出されているため、企業ユーザーが積極的に移行すべきものとは考えにくい。もしかすると、2018年春のアップデートまで待った方がいいのかもしれない。

de:code 2017 Windows 10のアップデートは、年2回、3月と9月に行われることが決まった。Office 365のアップデートも、Winodws 10と同じタイミングになった。このため、Insider Previewで搭載された機能もスケジュールの関係で間に合わないことがある(de:code 2017の講演資料から引用)
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