モバイルデバイスの登場以前は、Windows PCが一般的でした。PC市場の90%以上がWindows PCだった時期もあります。なぜ、それほどにシェアが高まったのでしょうか。そして、なぜいま、モバイルデバイスへの移行が始まったのでしょうか。
初期のPCが登場した1980年代には、さまざまな企業がPCを開発、販売していました。なかでも企業ユーザーに信頼されていたのがIBM製品でした。その後、IBM互換機の参入により価格が下落、そのシェアを伸ばしたのです。
互換機のシェアが高くなると、そのためのアプリケーションソフトが数多く開発されるようになり、さらに互換機のシェアがさらに伸びるという循環が生まれました。
IBM製品と互換機には、Intelのプロセッサが使われていました。そして、Microsoftは、これらのPCで動くWindowsを開発し、この組み合わせ(“Wintel”と呼ばれることがあります)が標準的なクライアントになったのです。
一方、ソフトウェアを開発する側にとっては、いくつもの異なるプラットフォームが混在している環境は、それぞれに別々のソフトを開発しなければならず、手間もコストもかかります。そのため、最もシェアの大きいWintelでの開発が増えて、さらにシェアを拡大していったのです。
しかし、この結果、ユーザーも開発ベンダーもWintelから逃れられなくなりました。このような状況を「ベンダーロックイン」といいます。
ベンダーロックインは、ベンダーの裁量を許し、ユーザーの選択肢を狭め、高コスト化や技術の停滞をもたらす恐れがあります。しかし、クラウドの登場により、いま、この状況は、大きく変わろうとしています。
日本IBMで営業として大手電気・電子製造業の顧客を担当。1995年に日本IBMを退職し、次代のITビジネス開発と人材育成を支援するネットコマースを設立。代表取締役に就任し、現在に至る。詳しいプロフィールはこちら。最新テクノロジーやビジネスの動向をまとめたプレゼンテーションデータをロイヤルティーフリーで提供する「ITビジネス・プレゼンテーション・ライブラリー/LiBRA」はこちら。
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