最後に登壇したのは、建設会社で情シスを務めるTさん。Tさんにとっての2017年は、「働き方改革」の年となったようです。
政府が語る働き方改革とは、テレワークやIoT機器などのICT技術を使うことを推奨する試みです。それにより、労働時間が短縮されて休みが増え、柔軟な働き方ができることなどを政府はアピールしています。
しかし、「この1年間、労働時間は全く減っていません」とTさん。働き方改革で成果が出ていない理由を「業務の課題を見ていなかったから」と分析しました。
例えば「スキマ時間を活用する」といっても、既にみんな忙しく、そもそもスキマ時間などありません。また、「効率的に仕事をする」と目標を掲げても、「どういう仕事の仕方が効率的なのか」という具体的なイメージがなかったといいます。では、どうすればよいのか。「社内のいろいろな部署に折をみては出向くようにしていました」(Tさん)
すると、ある人は、本来は一気にデータとして流し込めるはずの文章入力を延々と手打ちで入力するなど、根本的な課題があることが分かったのです。そこで、「工数=仕事量」と考え、工数を減らすことを考えました。ヒントとなったのは、音楽家が作曲に使うDTM環境と、以前ITmediaの記事で紹介された、ある漫画家の作画環境でした。
「システムや業務を変えるのは難しい。でも、使う道具を変えるのは簡単じゃないか?」とTさん。例えば入力しやすいキーボードや使いやすいマウスは、それだけでPCの使用を効率化します。Tさんが計測したところ、キーボードを変えることで入力の精度は15〜20%も向上したとのこと。
この計測結果を集計して、作業環境の改善案を上層部に提案しました。残念ながら不採用となりましたが、Tさんは現在も働き方改革に向けた提案を考えて続けています。
最後にTさんは、「具体的な課題を解決するのは人間の想像力でしかできない」と語り、ライトニングトークを終えました。
2017年、俺たちの情シスは大きな進化を遂げました。サイボウズさんや日本マイクロソフトさん、セールスフォース・ドットコムさんとのコラボ企画が実現し、情シスの生の声をIT企業の方々にお届けできるまでになりました。それもこれも、参加してくださる情シスの皆さまのおかげ。2018年も皆さまのご参加をお待ちしております!
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