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» 2018年05月23日 10時00分 公開

Webブラウザをコンピュータに(後編):WindowsをChrome OS系OSでリプレースするための現実解

Webブラウザベースアプリの増加はChrome OS系OSにとって追い風だが、Windowsネイティブアプリの存在がWindowsからの移行を阻害している。だが、その問題にも解決策はある。

[Cliff Saran,Computer Weekly]
Computer Weekly

 前編(Computer Weekly日本語版 5月9日号掲載)では、既存のPCにインストールできる「Chromium OS」ベースのOS「CloudReady」を紹介した。

 後編では、CloudReadyを企業環境に適応させるNeverwareの戦略など、「Chrome OS」系のOSが企業で有用になりつつある現状を紹介する。

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デスクトップOSの中で最善の選択肢

 Googleとそのパートナーは、Chrome OSを搭載した「Chromebook」を企業にアピールし始めている。一方Neverwareは、CloudReadyを「金銭的余裕のないIT部門が古いハードウェアを再び動かす方法」と見なしている。「学校は、新しいハードウェアを調達する必要がない」と前出のNeverwareのCEOアンドリュー・バウアー氏は語る。

 「当社が開発しているOSは、長い目で見て、あらゆる規模の組織が導入したくなるようなものに仕上げたい。そのため、ユーザーエクスペリエンスに妥協はしたくない」(バウアー氏)

 ライブUSBから起動できるように設計されている「Linux」とは異なり、CloudReadyは既存のデスクトップOSに取って代わることを主な目的としている。そのため、インストールされている既存のOSを上書きする。

 これにより、CloudReadyを試すことをためらうユーザーも出てくるかもしれない。だが、バウアー氏はこのことを障害とは見なしていない。「当社は、CloudReadyの主なユースケースはHDDへのインストールだと考えている」

 「CloudReadyとWindowsのデュアルブートもテストしたが、その方向に進むのはやめた。当社は、あらゆるデスクトップOSの中で最善の選択肢としてCloudReadyを提供したい」

 また、Googleから投資を受けているため、CloudReadyをChrome OSとさらに緊密に統合できる可能性があると同氏は話す。「当社はGoogleのエンジニアリングチームと密な関係を築いていて、目標はCloudReadyをChrome OSにできる限り近づけることだ」

 同社によるCloudReady対応のノートPC、デスクトップPC、Macのリストには200個のハードウェア名が並ぶ。いずれも9〜10年の年数を経たハードウェアだ。CloudReadyは、Intelのチップセットをベースとするシンクライアント端末もサポートする。バウアー氏によれば、CloudReadyを使用すれば古いハードウェアを仮想デスクトップ環境にアップデートできるという。

 これを可能にするのがGoogle管理コンソールで、CloudReadyを実行する古いハードウェアを直接「キオスク」モードで起動できるようにする。つまり、仮想デスクトップインフラ(VDI)を通じてリモートデスクトップをユーザーに提供するなどの目的で、アプリケーションを1つだけ実行するよう構成できる。

レガシーWindowsサポート

 かつてリモートデスクトップはChromebookの「イメージキャラクター」のようなもので、ユーザーがWindowsデスクトップにリモートアクセスすることを可能にしていた。Computer Weeklyのインタビューにそう答えていたのは、Computacenterでデジタルワークプレーステクノロジー担当チーフテクノロジストを務めるポール・ブレイ氏だ。

 Windowsアプリケーションへのリモートアクセスの提供は、ほぼ間違いなくCloudReadyのユースケースの1つになるだろう。特に、企業が「Windows 7」のサポート終了を機にデスクトップITへの新たなアプローチを検討しているならばなおさらだ。Windowsでしか実行できず、SaaSとして提供されることもなく、ブラウザベースでもないアプリケーションは必ず存在する。この場合、アプリケーションを完全に刷新するのでなければ、VDIが唯一の方法となる可能性がある。

 Citrix SystemsもVMwareも、Chrome OSのVDI経由でWindowsデスクトップを提供するためのChromeブラウザ拡張機能を用意している。Citrixのシニアプロダクトマーケティングマネジャー(アライアンス)ショーン・ドナヒュー氏は、ブログでこの仕組みを概説している。「ChromeウェブストアやCitrix.comでダウンロードできる『Citrix Receiver for Chrome』は、場所、ネットワーク、端末を問わず、基幹業務アプリケーションや仮想デスクトップをそのままの使い心地で使えるようにする」

 Chrome OSは(ついでにいえばCloudReadyも)OSが起動するたびにクリーンコピーを保持するよう設計されている。Computer Weeklyが話を聞いた専門家によると、これによりマルウェアを回避することが可能になるという。理論上、全データと企業アプリケーションがデータセンターで保護されるため、仮想デスクトップも安全ということになる。

 「VMware Horizon」もChrome拡張機能として仮想デスクトップアクセスを提供する。ブラウザベースのVDIエクスペリエンスには制限があるのも確かだが、その一部は管理コンソールなどGoogleのツールを使って解決できる。「Googleクラウド プリント」は、クラウドを経由してローカルに印刷できるようにする。また同社の「Googleドライブ」は簡単なファイル共有に使える。

Windowsアプリケーションの統合

 ほとんどの大企業では、デスクトップアプリケーションを監査すれば恐らく数百のWindowsアプリケーションが見つかるはずだ。また、それらのアプリケーションは複数のバージョンがネットワーク上に存在していることだろう。

 Windows 7のサポートが終了するため、IT部門はソフトウェア資産管理監査を厳しくして、この数を減らすことが求められる。

 Windowsデスクトップ資産の範囲を知れば、CIO(最高情報責任者)やIT部門の意思決定者は、ブラウザアプリケーションを追加で実行する可能性について評価できる。またChrome OSやCloudReadyなど、ブラウザに最適化されたOSの導入も検討できる。

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