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» 2018年08月20日 07時00分 公開

CIOへの道:日本のCIOは「CxO四天王の中で最弱」? この状況はどうしたら変わるのか (1/5)

クックパッドの情シス部長とITコンサルの、「これからの情シスはどうあるべきか問題」を語る対談の後編。テーマはこれからのIT部門の役割や、攻めの情シスについての考え方、日本の「CIO不在問題」はどうすれば変わるのか――。2人の意見はいかに。

[吉村哲樹, 後藤祥子,ITmedia]

この対談は

日本企業のCIO設置率は42.1%、うち、専任者は6.5%――。これは平成27年6月に発表された経済産業省の「情報処理実態調査」によるもので、ITとビジネスが不可分な時代になったにもかかわらず、それらを統合的に見るCIOという存在がいまだ少ないことを示しています。

なぜ、CIOが増えないのか――。理由はいろいろありますが、その一つには「そもそもCIOとは何なのか」が知られていないことが挙げられます。今、活躍しているCIOは、どんなキャリアをたどったのか、どのような心構えで職務を遂行しているのか、CIOになるために必要な資質とは何なのか――。この連載では、CIOを目指す情報システム部長と識者の対談を通じて、CIOになるための道を探ります。


ITコンサルタント:ケンブリッジ・テクノロジー・パートナーズ バイスプレジデント 白川克氏プロフィール

大学卒業後、システム開発とプロジェクト管理を経験後、「業者でも先生でもない、理想の関係をお客さまと作る」の思いから、2000年ケンブリッジ・テクノロジー・パートナーズに転職。「空気を読まず、お客さまにとって本当に正しいと思うことを言い、お客さまと共に汗をかいて実行し切ること」がコンサルティング・モットー。著書に『業務改革の教科書』(日本経済新聞出版社)、『会社のITはエンジニアに任せるな!』(ダイヤモンド社)など。


情シス部長:クックパッド コーポレートエンジニアリング部 部長 中野仁氏プロフィール

国内・外資ベンダーのエンジニアを経て事業会社の情報システム部門へ転職。メーカー、Webサービス企業でシステム部門の立ち上げやシステム刷新に関わる。2015年からクックパッドで海外を含むシステム刷新を推進する。システムに限らない企業の本質的な変化を実現することが信条。


Photo 対談はケンブリッジ・テクノロジー・パートナーズのセミナールームで公開形式で行われた

 今回の対談のテーマは「変化の時代にIT部門は何を成すべきか」。前編に続いて後編では、ケンブリッジ・テクノロジー・パートナーズ バイスプレジデントの白川克氏とクックパッドの情報システム部門を率いる中野仁氏が、「経営とシステム部門の関係性」や「攻めの情シスについての考え方」「日本のCIO不在問題」について語り合った。

「20%ルール」で社員のモチベーションを維持

Photo 公開対談の様子は、うじさかえる氏がグラフィックレコーディングで記録

白川氏 ちなみにクックパッドさんに限らず、企業のIT部門全般の役割についてはどのような考えをお持ちですか?

中野氏 システム部門はシステム投資の一貫性を担保する役割を担う組織だと思っています。そのために、企画から導入、運用までというシステムに関わるプロセスの全般を見る。対象となる範囲もアプリケーションからネットワーク・インフラまでの全体に及びます。

 企業によっては、ネットワーク・インフラ機能だけを持つ「小さな情シス」だったり、アプリケーション系の機能が別のチームだったりするのですが、このような組織体だと、例えばワークスタイル変革みたいなハードウェアとソフトウェアが合わさるような施策を動かそうとするときに、うまく動けないことがある。私はどちらかというと「大きな情シス」を支持する方ですね。海外も含めてシステム投資戦略を計画し、実行しようとするならば、その方が現実的だと思います。

Photo クックパッドのコーポレートエンジニアリング部で部長を務める中野仁氏

 私には「システム投資の信念」のようなものが幾つかあって、そのうちの一つが「システム投資はトップダウンであるべし」というものです。何社かにヒアリングして分かったのですが、グローバルで勝っている企業はシステムも可能な限りシンプルにしていて、国内外で一貫性が保たれていました。シンプルさと一貫性が最優先事項なのかなと。日本のような複雑なプロセスは通用しないし、機能しないのだと思います。社員も米国、中国、欧州など多様な人種がおり、組織にはさまざまな特技を持った専門家が集まっています。おまけに時差まであるわけで、複雑なシステムでは立ちゆかないのでしょう。

 参考にした外資系企業のシステム構成から感じたのは、とにかく強力な一貫性でしたね。システムだけではなく、プロセスやポリシーについての方向性が偏執的なまでに一貫している。そうなると、地域差などは相当な割り切りも必要であり、日本ではここまで徹底できない企業がほとんどで、海外展開するときに日本企業がつまずく一つのポイントではないかと思います。海外子会社は同じシステムを使っているのに、日本の本社だけが独自のシステムで運用している、という話はよく耳にしますし……。

 ただ、こうした一貫性のあるシステムの方針や戦略を、「現場の一部門が立てられるか」といったら基本的には無理で、経営なり横串の組織なりがリードする以外ありません。システムを増やすことは現場でもできますが、統廃合は現場レベルでは難しい。システムの統廃合は、業務に対する影響が大きい上に物議を醸すことも多いので、それは誰かが背負わないといけないのではないかと思っています。

白川氏 私が普段、仕事で話をする機会が多い情シス部長やCIOといった立場の方々も、基本的には視座が高くて常に全体最適を考えている人が多いですね。ただ、いろんなタイプの方がいて、中には新しもの好きで、何かがはやると率先して試すようなタイプのリーダーもいますね。中野さんは、新しい技術や製品を積極的に導入しつつも、「新しいから使う」というよりは、「経営戦略から導き出したIT施策を実行に移すために採用したものが、たまたま新しいものだった」という感じですかね?

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