Java 11正式版がリリース、本バージョンから「Oracle JDK」のサポートは有償に「OpenJDK」で無償の長期サポート提供は、現時点で期待薄(3/4 ページ)

» 2018年09月28日 14時30分 公開
[新野淳一Publickey]

 米OracleでJava Platform Groupのチーフアーキテクトを務めるマーク・ラインホルト氏は2018年8月17日、jdk-devメーリングリストでの「What does LTS mean for OpenJDK?」(OpenJDKにとってLTSは何を意味する?)のスレッドでの問いかけに、次のように答えています

> What will Java 11 get from Oracle?

> - 6 months of public $free updates with binaries published at

> http://jdk.java.net

> - 3 years of public $free updates with binaries published at http://jdk.java.net

> - something else?

(Java 11でオラクルが提供するのは? 6カ月の無料アップデート用バイナリをhttp://jdk.java.netで公開すること。3年の無料アップデートバイナリをhttp://jdk.java.netで公開すること。他にある?)

 この問いかけにラインホルト氏は次のように答えています。

At least six months of free, GPL-licensed updates with binaries at http://jdk.java.net.(I say “at least” because that’s the current plan. The plan could change, to a longer time period, if the situation warrants.)

(少なくとも6カ月の間、無料でGPLライセンスのアップデート用バイナリがhttp://jdk.java.net.で提供される。(“少なくとも”と書いたのは、それが現在の計画であるからだ。長期的には計画は変わり得る、もし状況が正当ならば))

 ラインホルト氏は、Javaのどのバージョンでも提供される6カ月間のアップデートにのみ言及し、LTSで期待される3年間のアップデートについては言及しませんでした。

 また、8月23日付の別のメッセージでも、Java 12がリリースされた後は、オラクルはOpenJDKビルドに対するセキュリティパッチの提供をJava 12に対して行うと説明しています。つまり、オラクルが同社がビルドしたOpenJDK 11ビルドのサポートを行うのはJava 12が登場するまでの6カ月だけ、ということです。

 ラインホルト氏は、2017年の時点では下記のように、OpenJDKにおけるLTS対応を期待させる発表をしていました(あるいは、これはOpenJDKのソースコードのメンテナンス期間と理解すべきだったのかもしれません)。しかし、上記の発言からすれば、Java 11においてオラクルが提供するOpenJDKビルドのLTS対応は期待できません。

 ただし「計画は変わり得る」と書いているように、Reinhold氏はまだ諦めてはいないのかもしれません。何にせよ、現時点では、オラクルが提供する無償のOpenJDKビルドを使う場合には、6カ月ごとのJavaのバージョンアップに追随していく覚悟が必要です。

 今後のJavaのバージョンアップにおいては、過去のバージョンに対する互換性は保証されません。Javaの新バージョンが登場するたびに、開発中や運用中のアプリケーションに対して互換性テストを行い、万が一互換性のない部分を発見した場合、修正作業が発生することになります。

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