インタビュー
» 2018年11月08日 08時00分 公開

サイバーエージェント「AI Lab」に聞く(前編):人が“生命”を感じ、信頼できる対話AI 実現のヒントは掃除ロボット「ルンバ」にある (1/4)

どんなAIなら人は受け入れられるのか。AIが社会に普及していく際には、避けられない議論だ。サイバーエージェントのAI研究組織「AI Lab」では、大阪大学の石黒研と組み、実験を繰り返しながら、その答えを探しているという。

[大内孝子,ITmedia]

 iPhoneの「Siri」に始まり、各種チャットbotや、Google Home、Amazon Echo、LINE clovaといったスマートスピーカーも普及し始めている昨今、テキストや音声を使い、人と機械がコミュニケーションを取る場面が増え続けている。

 それらのほとんどは、情報端末(や情報サービスのアカウント)にひも付いて操作を支援したり、ユーザーからの「ある程度決められた問い」に答えたりする程度の機能にすぎない。しかし、さまざまな企業が今、目指しているのは、それ以上――複数の選択肢がある中でユーザーの意図をくみ取り、応対する対話エージェントだ。

 例えば、店舗における“接客”など、一見雑談をしているかのような会話の中から、顧客のニーズを捉えて的確に商品を提示するといったスキルは、これまで属人的なものだった。しかしこれをAIで実現できれば、大きな省力化が期待できる。

 しかしながら、AIによる対話エージェントには、音声認識、音声合成、自然対話、さらにはコンテクストの理解など、さまざまな要素技術が高いレベルで円滑に連携する必要がある。現状では、実用(商用)に耐え得るシステムはほぼないと言っても過言ではない。この対話エージェント実現のカギはどこにあるのだろうか。サイバーエージェントの人工知能技術の研究開発組織「AI Lab」で、対話エージェントを研究している馬場惇さんに話を聞いた。

photo 対話エージェントを構成する要素技術

実用的な対話エージェント、そのカギは「インタラクションのデザイン」に?

 AI Labでは、ホテルでの接客ロボット、チャットbotでのアクセサリー販売などで対話エージェントを導入する実証実験を始めている。これらが実用化へと向かうためのアプローチはいくつもあるが、その1つとして彼らが重視しているのが、ユーザーとプロダクト(システムなど)が互いにどう振る舞うか、どういう情報をやりとりするかを設計する「インタラクションデザイン」の部分だ。

 ロボット研究の分野では、インタラクションデザインの可能性を示す面白い実験がある。豊橋技術科学大学の岡田美智男教授が研究を進める「ごみ箱ロボット(Sociable Trash Box)」だ。このロボットはなんとごみを拾うことはできない。できることは、測域センサーで障害物を避けながらウロウロと動き回るだけ。しかし、このロボットを子どもの周りで動かしていると、子どもが「ロボットがごみを探している」と解釈して手伝ってしまうのだ。

photo Sociable Trash Box

 ごみ箱の中にモノを入れると、それを赤外線センサーで感知し、ロボットがお礼を言ってくれる。このごみ箱ロボットは複数台同時に動かしており、個体を識別するために色を分けていたところ、その色分けをごみの分別に読み替え、分別しながら捨ててくれた子どもまで現れたという。

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