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» 2018年11月19日 16時00分 公開

Mostly Harmless:なぜ“デスクトップLinux”は普及しなかったのか? (1/2)

IBMのRed Hat買収のニュースを期に、「Linux」の歴史を振り返ってみたところ、UI/UXの栄枯盛衰が見えてきました。優れたUI/UXとはどのように生まれるのでしょうか?

[大越章司,ITmedia]

この記事は大越章司氏のブログ「Mostly Harmless」より転載、編集しています。


 10月末に発表されたIBMがRed Hatを買収した件は話題になりました。この件でいろいろ調べていたら、こんな記事が目に止りました。

 この中にこんな一節があります。

LinuxがMicrosoftのデスクトップ支配に敢然と立ち向かうかのように見えた90年代半ばの熱狂とは異なっているものの

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 確かに、昔はLinuxは“デスクトップWindows”に闘いを挑んでいたのですよね。今でももちろん“デスクトップLinux”はありますが、主流はサーバ向けで、Red Hatの成功もそこから来ています。

 私は今の会社を立ち上げる直前、Red Hat Japanに在籍していました。12〜3年前です。当時はLinux(というかオープンソース)はMicrosoftと全面戦争状態にあり、Red Hat社員のPCはほぼ全てデスクトップLinuxでした(経理など一部の部門にはWindowsもありましたが)。そのとき、「やはりLinuxはデスクトップユーザーには使いづらい」ということを感じました。

 バリバリのOSSコミュニティーの人たちは、「かなりWindowsに近くなった」「少し我慢すれば全然大丈夫」などと言っていましたが、ずっとMacintoshやWindowsを使ってきて、半ば強制的にデスクトップLinuxを使わされた身としては、「あれもできない、これも不満」という状況でした。

 つまり、作っている側は「かなり良い線いってる」と思っていたのが、ユーザーから見ると「全然駄目」だったわけで、この辺のギャップにデスクトップLinux失敗の要因があったように思います。

デスクトップLinuxのどこが残念だったのか

 当然のことながら、Linuxでは「Microsoft Office」が使えないので、「OpenOffice」が標準ですが、細かい部分の操作が違うし、ファイルフォーマットも完全互換とはいえず、社外の企業や官庁とのデータのやりとりがうまくいかないことがしばしばありました(プレゼンソフトで三角型が描けずに半日悩んだ、と言っている人もいました)。

 いまだにMS Officeが世界標準として使い続けられていることを考えると、この点が、企業がデスクトップLinuxを使おうと考える上で最も大きな問題だったのだろうと思います。Macはその点、幸運だったといえるのでしょう。

 もう1つの大きな問題は、デバイスドライバです。プリンタやオーディオボードなどのドライバは、ベンダーが用意するものですが、ベンダーは誰も使っていないようなOS向けのドライバを作りたがりません。そのため、Linuxでは、接続できるデバイスがWindowsよりも明らかに少なく、たとえドライバがあり、そのときは動いていても、将来のサポートは約束されていない状況でした。

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 また、LinuxのUI(ユーザーインタフェース)は、一見Windowsに似ていましたが、細かいところで違いがあったり、ツールによっては見た目や操作が違ったりして、Windowsを知っていればいるほど、その違いに気づいてイライラするという状況でした。

 AppleのUIを最高と考える私にとって、“Macより劣るWindowsの劣化コピーでしかない”デスクトップLinux(当時はRHEL4でした)は、苦痛でしかなかったのを覚えています。コンシューマーデバイスにおける一貫したUIの大切さを実感したということですね。

 さらにLinuxの日本語版で問題だったのは、フォントです。英語は文字数が少ないため、アウトラインフォントも簡単に作ることができ、無料の優れたフォントがたくさんありましたが、日本語のフォントは非常に高価で(モリサワのフォントが1書体数万円で売られていた時代でした)、OSSのディストリビューションに入れることは到底不可能だったため、コミュニティーで作ったフォントを使っていました。当時作ってくださった方々には申し訳ないのですが、画面上でも印刷でも見栄えは非常に悪いものでした。

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