長谷川: 働き方に関してはどうですか? 日本の場合、週5日8時間働くとか、会社によりますけど10分でも遅れたら半休とることになるとか、フレックスにしてもコアタイムがあるとか、「これはどうなの?」と感じるようなこと、ないですか。
山崎: うちもIPO(Initial Public Offering:株式の新規公開)を考えるようになって、そういうところも気にし始めたのですが、良くないな、と感じてます。僕自身は「成果物があればどうでもいいじゃん」という考え方なので、会社に来なくてもいいし、もし来るならポジティブな理由であってほしい。例えば、「顔を合わせて話がしたいからオフィスに来る」という理由なら、すごくポジティブですけど、「ここにいないとカウントされない」とか、そういう理由でがんばって来ちゃうのは違う気がします。
長谷川: 来ないといけない、という雰囲気になっている?
山崎: やっぱり株式上場を意識し始めると、どうやって勤務時間を管理するか――という話も出てきますからね。
今、会社のメンバーは20代が9割で、外国籍のスタッフも多いんです。大学で研究をしてきて、うちが初めての会社、という人も多いので、彼らには広い世界を知ってほしいですね。オフィスにオープンスペースを作っていろんな人たちを呼んできている理由の1つはそれです。外の人たちの考えも入れつつ、逆に自分たちもどんどん外に出ていっていいんだよ、というのを見せたいと思っていて。仕事はリモートでも何でもいいから、「今日はここに行きたい」と自分の意思で決めて、行けるようになるといいですよね。
長谷川: そう思いますね。
山崎: 法令順守は必要だとしても、「ルールを守っていれば、取りあえず生き残れる」という状態だと、何も生まれなくなってしまいますからね。
長谷川: 危ないですよね。
山崎: 「しょうがねえ。迷惑かけたくないから守るか」というのが美しいと思っているんですけど、“ルールを守りながらも美学を保てるか”というのが、なかなか難しいところですよね。そういう意味では、言葉で「自由にやっていいよ」と言うだけでなく、いかに背中を見せられるか、「これを一緒に作りたいから、こういうルールでやってくれない?」と言ったときに「しょうがないな」とついてきてくれるような信頼関係を作れるかどうかも、勝負どころだと思っています。
長谷川: いいですね。メルカリも、「自分で考えて、意味のあることをどんどんやってください」という文化です。
面白いのは、チームビルディングのための経費の上限がないんですよ。一般的な会社は、マネジャー1人に月額いくらまで、といったような上限が決まっているものですけど、そうすると、予算いっぱい使い切ろうとするんですよね。逆に上限が決まっていないと、本当に必要なことにだけ使うようになるんです。だから、人間って枠を与えない方が、実はまともな方向に行く可能性もあるんだな、と思って。
山崎: そう思いますね。
長谷川: 今日はありがとうございました。メルカリもコールセンターを作ることを考えているんで、今度は仕事の話をしましょう。
山崎: ぜひ、よろしくお願いします。
音声感情解析AI「Empath」を開発するEmpathのCSO。海外戦略を担当。米国のベンチャーキャピタル1776が主催するピッチコンテストChallenge Cup Japan 2017にて優勝、日本代表に選出される。またドバイで開催された中東最大のテクノロジー見本市GITEX 2017にて開催されたピッチコンテストAccenture Innovation Award AI部門で優勝。国内スタートアップ同士の連帯を深めるため、2017年7月よりミートアップ・イベント、Tsumuguを主催。東京大学大学院総合文化研究科修士課程修了。2017年より青山学院大学社会情報学部特別研究員。
1994年、アクセンチュアに入社後、国内外の小売業の業務改革、コスト削減、マーケティング支援などに従事。2008年、東急ハンズに入社後、情報システム部門、物流部門、通販事業の責任者として改革を実施。デジタルマーケティング領域では、Twitter、Facebook、コレカモネットなどソーシャルメディアを推進。その後、オムニチャネル推進の責任者となり、東急ハンズアプリでは、次世代のお買い物体験への変革を推進している。2011年、同社、執行役員に昇進。2013年、ハンズラボを立ち上げ、代表取締役社長に就任。東急ハンズの執行役員と兼任。AWSの企業向けユーザー会(E-JAWS)のコミッティーメンバーでもある。2018年10月から現職。
ホスト:長谷川秀樹
マッチメイク・企画:酒井真弓
執筆:やつづかえり
企画・編集:後藤祥子
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