データセンターのサービスを理解する間違いだらけのデータセンター選択(3)(3/3 ページ)

» 2006年09月27日 12時00分 公開
[近藤 邦昭,まほろば工房]
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2. ホスティングサービス

 ホスティングサービスにも多くの種類があります。代表的なものは以下のとおりです。

  • 専用サーバレンタルサービス
  • 仮想サーバレンタルサービス
  • Webホスティングサービス

専用サーバレンタルサービス

 文字どおり、サーバ丸ごと1台をレンタルさせてくれるサービスです。多くの場合、データセンターの指定のOSを導入しますが、基本的なソフトウェア、そしてサーバ管理用のソフトウェアを併せてレンタルできます。

 OSはRedhat Linuxの場合が多いですが、FreeBSDなどのケースもあり、選択が可能です。また、多くの場合、サーバの種類、CPU速度、メモリ量などのサーバ構成を、提供しようとするサービスに合わせて選ぶことが可能です。初期導入がされている基本的なソフトウェアとしては、MySQLやPostgre SQLなどのデータベース、PHPやPerlなどのスクリプト言語、メールサーバなどがあり、オプションで追加することも可能な場合が多くあります。

 ただし、データセンター側でサポートしているソフトウェアのバージョンは限定されることが多いため、自分が行いたいサービスに導入されているソフトウェアが対応しているかを事前に確認する必要があります。

 このようなサービスにはほとんどの場合、サーバ管理ソフトが導入されており、サーバに詳しくない人でもWeb経由で簡単に管理することが可能です。代表的なものとして、Webminが多く使われているようです。Webminについては、@ITの記事でも触れられていますので、そちらをご覧ください。

 専用サーバレンタルサービスの場合、1台丸ごとレンタルするために、ほかのサービスに比べて料金的に高くなっています。しかし、自分でサーバを用意してコロケーションサービスを契約してサービスを立ち上げるよりもはるかに安価です。

 運用についても、専用サーバの場合は、サーバの管理者権限であるrootの権限を顧客に委譲してくれるケースがあり、自分でサーバを用意してコロケーション契約をする場合とほとんど変わりません。

 さらに専用サーバレンタルサービスの場合は、Webminなどのデータセンター指定の管理方法で使っていれば、トラブルが起きた場合にでも、初期化サービスを利用できたり、追加ソフトウェアインストールサービスを利用できたりと便利な機能が多数提供されています。場合によっては、ネットワークを二重化してくれたり、サーバの予備を用意してくれていたりと、運用面で相当サポートが強力です。

 あまり特殊なサービスを考えておらず、数台のサーバでサービスを提供しようとする場合は、専用サーバを利用することをお勧めします。

仮想サーバレンタルサービス

 仮想サーバレンタルサービスは、1台のサーバを複数の顧客で共有して利用するサービスです。

 共有といっても、1台のサーバにインストールされたOSを複数人で共有するというよりも、1台のサーバに仮想サーバを複数導入し、その個々のOSを顧客ごとに別々に利用するというものです。ちょうど、1台のサーバにXenなどの仮想化技術を適用して、仮想OSをレンタルするようなイメージです。

 専用サーバに比べて、多少制限が増えるほか、ほかの顧客のサーバ負荷が上がった場合に、自分のサービスに影響が出るケースがあるなど、多少心配事が増えますが、負荷を管理するマネージャ(制御ミドルウェア)を利用するなどしている場合も多く、専用サーバを利用している場合とさほど変わらないといってもよいかもしれません。

 また、値段も専用サーバに比較して格段に安価になります。あまり負荷がかからないサービスを提供する場合などは利用価値が高いサービスといえます。

Webホスティングサービス

 Webホスティングサービスは、文字どおりWebサービスだけに特化したホスティングサービスです。1台のサーバで複数のWebをホスティングして提供します。

 以上のようにホスティングサービスは、Webもしくは数台規模のサービスを提供する場合に非常に有効に活用できます。専用サーバの場合は、ディスクスペースも選択できるため、ちょっと大き目のデータベースまでなら十分利用可能です。

 一方で、複数サーバで負荷分散を行ったり、ほかの拠点と連携してネットワークを構築する場合など、単体のサーバだけで提供できないサービスを構築する場合には、コロケーションサービスを利用して構築する以外に方法はありません。また、サーバ台数が多くなったりすると、コロケーションサービスを利用してサーバをユーザー側で管理したほうが安上がりになるケースもあります。

 次回は、コロケーションサービスを利用して、複数拠点と接続したり、ほかのネットワークと接続したりするようなケースを想定して、地理的またはネットワーク的にどのようなデータセンターを選べばよいかについて解説したいと思います。

著者紹介

▼著者名 近藤 邦昭(こんどう くにあき)

1970年北海道生まれ。神奈川工科大学・情報工学科修了。1992年に某ソフトハウスに入社、主に通信系ソフトウエアの設計・開発に従事。

1995年ドリーム・トレイン・インターネットに入社し、バックボーンネットワークの設計を行う。

1997年株式会社インターネットイニシアティブに入社、BGP4の監視・運用ツールの作成、新規プロトコル開発を行う。

2002年インテック・ネットコアに入社。2006年独立、現在に至る。

日本ネットワーク・オペレーターズ・グループ(JANOG)の会長も務める 。


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