5分で絶対に分かるSCM5分で絶対に分かる(1/6 ページ)

» 2009年08月18日 12時00分 公開
[石川 和幸@IT]

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SCMとは、会社・組織の壁を超えて“連携”すること

 皆さんの身の回りにある品物の多くは、皆さんの手元に届くまでに長い道のりを経ています。工業製品であれば、メーカーが原材料を調達して、工場で製品を作り、問屋に出荷し、さらに小売店に送り、ようやく店頭に並びます。このように、多段階に構造化された事業者の間でモノ(原材料・部品・製品)??逆方向には情報(注文)が流れていく調達の仕組みをサプライチェーン(供給連鎖)と呼びます。

 このサプライチェーンを全体最適していくための経営手法がサプライチェーン・マネジメントです。上記のように、サプライチェーンは、製品の材料を提供するサプライヤ、製品を作るメーカー、卸売りを行う問屋、消費者に販売する小売り事業者、モノを運ぶ物流会社など、さまざまなプレーヤーによって形づくられます。

 業界にもよりますが、一般に今日のサプライチェーンは長大化・複雑化しており、各プレーヤーがばらばらに判断していたのでは、数々の無駄が生まれてしまいます。そこで業界全体あるいは企業同盟の立場から各プレーヤーの動きを制御・統制することで、“無駄のない供給の仕組みを作ろう”というのがSCMです。

 SCMの源流はいくつもあります。米国アパレル業界のQR、加工食品業界のECRブルウイップ効果対策、トヨタ自動車のJIT、ウォルマートとP&GによるVMI(Vendor Managed Inventory) ……。いずれも、「適切かつ迅速な情報共有の仕組みを構成する」「異なる企業・組織が協調・連携する」「無駄の排除によって得られた利益を顧客を含めた関係者で適切に配分する」といったコンセプトが背景にあります。

 すなわちSCMとは、会社や組織の壁を越えて無駄を排除し、全体で利益を生み出していこうという戦略的活動なのです。

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