サーバソフトのインストールやLinkStationの設定が済んでいれば、LinkTheaterの導入は簡単だ。標準でDHCPによるIPアドレスの取得が有効になっているので、DHCPサーバ機能を持つ一般的なブロードバンドルータがあるLAN環境下ならLANポートを接続するだけで利用可能になる。そうでない場合も、一般的なLAN設定(IPアドレス、サブネットマスク、デフォルトゲートウェイ)以外は特に必要ない。
コンテンツの再生はまず、DVDドライブもしくはサーバ(PCやLinkStation)にログインする。DVDドライブもサーバの1つと思えば良い。LAN上のサーバは基本的に自動検索されるため、サーバごとにIPアドレスの設定といった手間はないが、明示的にサーバのIPアドレスを設定することもできる。
次にサーバがLinkStationである場合を除き、コンテンツのジャンルを選択する。これでサーバ上のフォルダ/コンテンツ一覧が表示されるので、再生したいコンテンツにフォーカスを移動し、ENTERキーを押せばコンテンツが再生開始だ。ここまでのユーザーインタフェースはシンプルで、特に戸惑うことはないだろう。
しかし、わかりにくい点もいくつかある。まずコンテンツをENTERで選択した場合、選択したコンテンツの再生終了後に自動で次のコンテンツに移行したり、前後のコンテンツに移動することはできない。つまり、「前」「次」といったボタンが全く機能しないのだ。
コンテンツを連続して再生したい場合は「リピート」ボタンを押す。この場合、フォルダの先頭のコンテンツから順に再生が開始されるほか、「前」「次」ボタンでコンテンツ間を移動できる。少々癖のある操作性といえるだろう。
コンテンツ一覧の操作もちょっと混乱しそう。PCがサーバの場合は一覧の上端で上ボタン、下端で下ボタンを押すとページスクロールし、左右キーでもページスクロールする。DVDメディア上のコンテンツでは上下キーで連続スクロールする。もっとも、この違いはDVDメディアに保存できるコンテンツは絶対数が少ない、という意味で納得できる。
一方、サーバがLinkStationの場合は、ページスクロールが「前」「次」ボタンになり、操作性がいきなり異なる。コンテンツ一覧の表示順を逆にできたり、PCがサーバのときよりページスクロールの待ち時間が少ないといった便利な面もあるが、やはり操作には違和感がある。
結局のところ、コンテンツがどこに保管されているかでユーザーインタフェースが3つも存在することになる。操作を覚えるのが大変という程ではないが、もう少し統一感を出してほしいものだ。ただ、操作性自体はさほど悪くない。
LinkStationとの組合せで気になるのは、LinkStationにLinkTheater以外の端末から同時にアクセスが発生した場合だ。家庭に複数のPCがあれば、いつ誰がLinkStationにアクセスするかわからない。
しかし、実際にLinkStationに動画コンテンツをPCからコピーしつつ、LinkStation内の2MbpsのDivX、4MbpsのMPEG2といった動画コンテンツを再生してみたが、コマ落ちなどはまったく発生しなかった。LinkStation側でQoSまで行っているかどうかはわからないが、どうやらLinkStationの使用状況は気にせずにコンテンツの再生は行えそうだ。
また細かな点だがMPEGファイルでは拡張子がmpgに加え、mpeg、m2pといったファイルもコンテンツとして認識する点は便利だ。PCのテレビチューナーカードなどではMPEG2フォーマットのファイルは拡張子がm2pとなる製品も多いが、他社製品の中にはこれをコンテンツとして認識できない製品もある。
LinkTheaterなら、録画番組が保存されるフォルダをサーバソフトで指定しておけば、特に管理することなくTVで再生できる。例えば同社のテレビチューナーカード「PC-MV5DX」は最新ソフトウェアではファイル名に番組名が含まれるように変更されており、こういった製品と組合わせればコンテンツの選択も簡単に行えるだろう。
操作性など、まだまだ荒削りな部分はあるが、やはりLinkStationとの組み合わせで実現できるPCレスのコンテンツ再生は競合製品にない魅力だ。現時点ではネットワークマルチメディアプレーヤーの選択肢にあげて構わないだろう。
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