バッファローから3つの高画質回路を搭載したハードウェアエンコードタイプのTVキャプチャーカード「PC-MV5DX」が登場した。現在、もっとも競合製品の多い2万円前後の価格帯だが、前モデルからTV視聴/録画ソフトも一新するなど、後発の製品らしく力が入っている。
PC-MV5DXは、ハードウェアMPEGエンコーダーにくわえ、3つの高画質回路を搭載したTVキャプチャーカード。高画質回路の“ゴーストリデューサー”“3D Y/C分離”“デジタルノイズリダクション”は低価格製品でも定番になりつつあり、これらの機能をそろえながら、定価1万9800円というリーズナブルさが魅力だ。
ボードは、“2階建て”構造にすることでPCIハーフサイズとなり、キューブ型のPCケースなどにも楽に収まる。サウンド機能との接続用に内部コネクタを備えるが、ここからブラケット部を通してPCケースの外側からライン入力に接続するためのケーブルが取り付けられている。組み込みを楽にするための配慮であり親切ともいえるが、このケーブルはブラケットを一度取り外さないと完全に排除できない点には注意が要る。
主要コンポーネントは、TVチューナーがフィリップス製、ビデオデコーダーがコネクサントの「CX23880」、MPEGエンコーダーチップ、ゴーストリデューサーチップ、3D Y/C分離チップがNEC製となっている。ラインナップの上では、「PC-MV5」の後継もしくは上位モデルという位置づけになるが、MPEGエンコードチップは異なる。チップ構成から見れば「PC-MV3DX」にハードウェアエンコード機能を付加した製品といえるだろう。またTVチューナーを除くと、NECの「SmartVision HG2/R」とほぼ同じチップ構成だ。
チューナーはVHF/UHFに対応。CATVも113chまで設定が可能だが、サポート外となるようだ。MPEGエンコーダーはMPEG-2が2〜15Mbpsで可変ビットレートにも対応するが、MPEG-1は1.152Mbps(Video CD準拠)に固定されている。また高画質機能は、3D Y/C分離とデジタルノイズリダクションが排他利用になっており、ゴーストリデューサーと合わせて3つの高画質機能を同時に利用することはできない。もっとも、これは同価格帯の他社製品も同様だ。ハードウェアオーバーレイにも対応しているため、CPU負荷は低く、ほぼリアルタイムで視聴ができる。
前モデルに相当するPC-MV5はアンテナ分配器やアンテナケーブルなど付属品が豊富だったが、これは省略された。もっともこういった付属品は全てのユーザーが必要な物ではないので、そのぶん価格に反映されていると解釈して構わないだろう。ハードウェアエンコードタイプのTVキャプチャボードは、現在2万円前後が激戦区だが、PC-MV5DXは実売価格で最低レベルに位置している。
TVの視聴・録画に利用するのはオリジナルソフトの「PCastTV」。PC-MV5ではInterVideoの「WINDVR」(カスタマイズバージョン)が採用されていたが、PCastTVの方が全般に動作が軽快だ。マウスのホイール操作にも対応しており、動画表示画面の右半分ではチャンネル、左半分ではボリューム操作が可能で、フルスクリーン表示であってもTVを見るために必要最小限の操作は行える。
表示ウインドウ、操作ウインドウが独立したタイプで、これに予約、録画済番組を管理するリストウインドウが加わる。早送り/早戻し再生は、ボタンを押すたびに高速になり、2/4/8/16/32倍と変化する。また早送り時には1.5倍もあり、1.5/2倍では音声付での早送り再生も可能だ。任意の位置に移動できるバーも長めに確保されているため、再生関係の操作はかなり快適な部類に入るだろう。
ダイレクトオーバーレイに対応していることもあり、全般にCPU使用率は低い。TV視聴だけならCPU使用率は限りなく0%に近く、視聴しながら高品質設定(8Mbps)で録画しても2〜4%程度だ(共にAthlon 2500+のPC)。さすがに追っかけ再生では50%近くになることもあったが、今時のPCなら特に動作に問題はないだろう。録画中に録画済み番組を再生することも可能だ。
予約録画の設定も柔軟だ。画面表示なし&無音の、いわゆる“サイレント録画”が可能であり、サスペンド・休止状態からの予約録画にも対応している。予約録画が終わった後のPC動作も、サスペンドおよび休止を選択できる。また、予約録画を確実に行うため、予め設定した時間内に別の録画予約が存在した場合にはサスペンドや休止を行わないといった設定も可能だ。
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