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『チューナーレスTV』のススメ?(2/2 ページ)

» 2004年02月23日 20時55分 公開
[佐藤晃洋,ITmedia]
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 このように視聴者の視聴形態が非常に多様化しているだけでなく、冒頭で指摘したようにチューナーレスモデルは実売価格でもチューナー内蔵型モデルに比べかなり安いだけに、実際にはチューナーレスモデルで十分事足りるし安上がりというユーザーは決して少なくないはず。しかし実際には、そもそも大型の液晶テレビやプラズマテレビにもきちんとチューナーレスモデルが存在するということ自体があまり一般には知られてないし、量販店に行っても相当な大型店でないとそのようなチューナーレスモデルが置かれていることは少ない。

 では、なぜ多くの量販店にはチューナーレスモデルが置いてないのか。先日筆者がとあるイベントで出会った、実際に自社でもチューナーレスモデルをラインナップしている某テレビメーカーの担当者はこう答える。

 「チューナーレスモデルだと、店頭でデモをする場合にそのままだとハイビジョンのテレビ放送を流せないので、販売店が嫌がるんですよ。外付けでチューナーをつけるのも面倒だといって販売店が嫌がるし、かといってそのテレビだけ別の映像を流すとお客さんが購入を敬遠する傾向がありますし……。結局、お客さんは店頭で見た映像を見て画質のきれいな方を購入することが多いので、違う映像が流れていると画質の比較そのものがしづらくなって、購入の検討対象にそもそも入れてもらえないケースが多いですし」。

 確かに、テレビの購入に当たっては画質の差というのは大きな要素だけに、上記の理由で量販店がチューナーレスモデルを扱いたがらないというのはまあ理解できなくもない。それに量販店的には、販売価格の高いデジタル放送対応モデルのほうが普通利幅も大きくなるわけだから、その売り上げが好調に推移している現状では、あえて販売価格や利幅が薄くなるであろうチューナーレスモデルを積極的に扱う必要もないのだろう。

CATVやプロバイダ等のセット販売に期待

 ただ、この状況の裏を返せば、例えば現在トランスモジュレーション方式でデジタル放送の配信を行っているCATVや、光ファイバでの映像配信を手がけるKDDI・スカパーなどは、もし仮にチューナーレスモデルのテレビと自社のサービスをセット販売すれば、ユーザーにコストメリットを訴求できる可能性があるということでもある。

 実際、筆者がとあるところから聞いた話では、CATV大手のJ-COM(ジュピターテレコム)などはそのようなセット販売の検討を始めているというし、前述の某メーカーの担当者も「具体的な話が出ているわけではない」と前置きしながらも「もう少しSTBが技術的に安定してくれば、STBとチューナーレスモデルのテレビのセット販売は今後検討に値する」と答えている。

 先日NTTコミュニケーションズが、OCNの契約者向けに「CoDenプラズマTVセット」の販売を開始すると発表したばかりだが、これはあくまで通常のプラズマテレビとPCのセット販売に過ぎない。今後これがチューナーレスモデルのテレビとSTBのセット販売などに発展すれば、結構面白いことになるのではないかと筆者は個人的に期待しているのだが、どうだろうか。

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