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Column:次世代DVDは“理想論”と“現実論”の対決特集:次世代DVDへの助走(2/2 ページ)

» 2004年02月27日 20時27分 公開
[本田雅一,ITmedia]
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 一方、記録型メディアとなると事情が変わってくる。デジタル放送時代、光ディスクへの録画は放送されるMPEG2データのストリーム記録が主たる使われ方になると考えられるからだ。また根本的なユーザーニーズも異なるため、ROMメディアとは切り離して議論する必要があるだろう。

 デジタルハイビジョン放送は、BSか地上波か、あるいはどの放送局かによって映像ビットレートが異なるが、BSデジタルのNHK BS-hiを基準にすると、現行BDレコーダーの23Gバイトが実用下限だろう。2時間7分とギリギリ2時間を超えることが可能だからだ。

 ちなみに、書き換え型Blu-ray Disc「BD-RE」には25Gバイト、27Gバイトの規格があり、2層記録では50Gバイト、54Gバイトもサポートする。54Gバイトでは5時間の長時間録画が可能だ。

 書き換え型のHD DVD-ARW(Advanced ReWritable)は、1層で20Gバイトあるものの、2層でも32Gバイトにしかならない(当初40Gバイトの見込みがアナウンスされていたが、徐々に減って現在は32Gバイト以上という表現になっている)。32Gバイトの2層ディスクで、やっと約3時間(実際には2〜3分切れる)の記録時間。20Gバイトの1層ディスクでは2時間番組の録画も行えないことになる。

 長編映画や音楽ライブ放送などでは3時間に達する(あるいはそれ以上の)放送も珍しくない。HD DVD-ARWをハイビジョン記録用に使う場合は、現在のレコーダーと同じようにハードディスクと組み合わせたハイブリッドタイプでなければ使いにくそうだ。ハイブリッドならば、HDDに記録したストリームを2枚のディスクに分割してムーブさせることも可能だろう。

 また、HD DVDの仕様には、HD映像をDVD9(2層8.5GバイトDVD)に収めたHD DVD9も含まれている。コンシューマー機にHD解像度のH.264、WMV9エンコーダーが搭載されるようになるには、まだ時間がかかるだろうが、ある程度画質や使い勝手を犠牲にしてでも暫定的に搭載する機種が出てくれば、安価なDVDメディアが利用可能になる。

 デジタルハイビジョン放送を、そのままストリーム記録で長時間保存したいというニーズに対し、BDの優位性は動かないと思う。筆者自身、地上波はほとんど見ず、BSデジタルの映画やドキュメンタリー、音楽ライブばかりを録画・鑑賞しているため、個人的には記録型にはBDを使いたいという気持ちがある。

 しかし、その一方でそうした番組の録画ニーズが、世の中一般のニーズでないことも知っている。おそらく一般家庭で録画されているコンテンツのほとんどは、そこそこの品質しか求められておらず、デジタルのSD放送で充分というものばかりだろう。地上波で放送されているコンテンツの多くは、タイムシフト視聴だけで保存したいとは思わないものばかりだ。従って、高品質というだけではなかなか市場をドライブできない。

 先行するBDに対して、東芝がHD DVD-ARWをどのように製品に反映させていくのか。その普及戦略について、追加取材を行う予定だ。

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