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似て非なる3つのVHS一体型DVDレコーダー(1/2 ページ)

» 2004年03月17日 18時29分 公開
[坪山博貴,ITmedia]

 今回の特集では、現行製品として入手可能な3社のVHS一体型DVDレコーダーを取り上げた。いずれの製品も地上波ダブルチューナーによる裏番組の同時録画、簡単な相互ダビングなどの機能を持ち、HDD+DVDレコーダーにもない独自の利便性を実現している。

 今回取り上げた3社はもともとVHSレコーダー大手でもあり、既に存在するVHSビデオデッキとDVDレコーダーを流用して1台にまとめあげた製品という感が強い。ただ、これも低価格を実現するためであれば、あながち否定もできない。現在、買い換え需要のVHSビデオデッキに求められているのが価格であることに間違いはないからだ。

 では、2台を1台にまとめただけの製品なら、どのメーカーでも大差ないのか? というと、やはりそうではない。実際に使ってみて分かったが、3社の製品に対するアプローチは全く異なるものだった。

 日本ビクターの「DR-MV1」は、リモコンをうまく設計するなど、わかりやすい操作と、DVDへの長時間録画へのコダワリが特徴で、当面はVHSを併用しつつ、テレビ録画だけはDVDへ移行したいという人向きの製品といえる。動画サムネイルもなかなか便利で、1枚のDVDメディアにたくさんの番組を録りためたい〜つまりHDDレコーダーのように使う人にも適している。

photo 日本ビクターの「DR-MV1」詳しいレビューはこちら

 東芝の「D-VR1」は、高画質指向のDVDレコーダー機能とダビングの便利さが特徴だ。“まるごとダビング”はワンタッチ操作だし、VHSからDVDへのダビングでもVHS側の頭だしを自動で行ってくれる“見るナビ”が使える。ここ数年間に発売された“見るナビ”対応東芝製VHSレコーダーのユーザーには魅力的だ。操作性は少々マニアックな部分があり、VHSレコーダーの代替として家族みんなで使いたいケースには向かないかもしれないが、ダビングを主な目的とするなら便利な製品だ。

photo 東芝の「D-VR1」。詳しいレビューはこちら

 シャープの「DV-RW200」は、シームレスでわかりやすい使い勝手が最大の魅力。ベースが1チューナーの「DV-RW100」だったことが好影響を与えているのだと思うが、録画予約から再生まで、VHSとDVDを違和感なく使い分けることができる。DVDレコーダー特有の“おっかけ再生”などが利用できないのは残念だが、メカ音痴の家族にも積極的に使わせたいなら一押しだ。VHSからDVDへのダビングはもう一工夫欲しい所だが、基本操作さえ覚えてしまえば、さほど不便に感じることはないだろう。

photo シャープの「DV-RW200」。詳しいレビューはこちら

 VHS一体型DVDレコーダーは、どうしても安易な複合製品に見られがちだ。しかし、長時間録画のビクター、高画質と機能性にこだわった東芝、わかりやすさのシャープと、各社のVHSビデオデッキやDVDレコーダーに見られるメーカー色がしっかりと反映されている点がおもしろい。購入時には価格も大きな要素だろうが、目的に応じた製品選択も重要だ。

現行製品に見る多くの課題

 それぞれに個性のある3製品だが、共通の課題も多い。どの製品もVHSからDVDへの高画質ダビングを特徴にしており、高度なノイズリダクションや簡易タイムベースコレクタなどを採用している。しかし、S-VHSへの対応はすべて、VHSクオリティ再生となる簡易再生機能にとどまっており、S-VHS録画テープやDVDの高画質を生かしたダビングが行えているとは言えない。

 もちろん、S-VHS録画を多用していたような画質にこだわるユーザー層は、既にDVDレコーダーに移行しているというのも事実だろう。“高画質ダビング”をうたいつつ、メーカーが実際に想定しているユーザー層は、S-VHSの画質を必要としない平均的なVHSユーザーである。この考え方は、おそらく間違ってはいない。

 ただ、現在のようなVHSレコーダーからDVDレコーダーへの移行期だからこそ、たとえ全体から見れば少数であっても、S-VHS対応の需要があるのも事実だ。製造コストの問題もあるだろうが、次期モデルあたりでは是非対応を考慮してほしい。

 AV入出力もちょっと考え物だ。レビューの中で繰り返してきたが、どの製品もVHSとDVDが共にサポートする映像出力はコンポジットのみ。VHSではD出力はともかくとして、S出力すら対応していない。接続するテレビ側の機能にもよるが、DVD側で高画質再生を望むと、いちいちテレビ側の入力を切り替える必要があり、何より配線が面倒だ。これもコストの問題が大きいのだと思うが、課題として挙げておきたい。

気になる春の新モデル3製品はどう?

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