ITmedia NEWS >

目指したのは“究極の臨場感”――パイオニア、新プラズマTV「ピュアビジョン」

» 2004年05月25日 15時54分 公開
[西坂真人,ITmedia]

 パイオニアは5月25日、先日発表した新プラズマTVシリーズの新製品説明会を都内ホテルで実施した。

photo

 同社プラズマTV「ピュアビジョン」の新製品は、地上/BS/110度CSデジタルチューナー外付けタイプ計4機種(50V型/43V型サイズ×各ロングスピーカー/ショートスピーカー)とスピーカー・チューナー一体型1機種の合計5機種。すべての製品に独自のフルデジタル映像処理回路「P.U.R.E Drive」に加えて新たな高画質化技術「アドバンスドスーパーCLEAR駆動法」が搭載され、「世界最高色数」(同社)となる57億5000万色の表現が可能になったのが特徴だ。

画面サイズ 型番 スピーカータイプ 実売予想価格 発売日
50V型 PDP-505HDL ロングスピーカー 85万円前後 6月下旬
50V型 PDP-505HDS ショートスピーカー 85万円前後 6月下旬
43V型 PDP-435HDL ロングスピーカー 65万円前後 6月中旬
43V型 PDP-435HDS ショートスピーカー 65万円前後 6月中旬
43V型 PDP-435SX チューナー/スピーカー一体型 62万-63万円前後 7月下旬

 「目指したのは“究極の臨場感”。従来の写実描写を追求した処理に、“印象的な部分”を加えたところが新製品のポイント。リアリズムだけでなく、キレイに美しく見せる工夫が施されている。57億5000万色と色数を増やすことで、本当の空の色はどんな青なのかを微細に追求できるようになった」(同社)

photo 50V型・ロングスピーカーのPDP-505HDL

 また、前面フィルターのガラスを省略し、PDP部と一体化した「ダイレクトカラーフィルター」を採用。これにより、前面フィルターとPDP間の多重反射による画像のボケを低減したほか、明コントラスト比も従来モデルより2割ほど向上している。

photo 50V型・ショートスピーカーのPDP-505HDS

 「今までガラスでしてきたことを1枚のフィルムにしてしまった。ガラスが省略されたことで、薄く軽くなり、なにより見やすくなった。従来のガラス製ピュアカラーフィルターでは、前面ガラス基板との間に空気の層ができてしまい、それが光の多重反射となってぼやけた映像を引き起こしていた。ガラスをフィルムに変えたかったのではなく、映像劣化の原因となる空気層をなくしたかった」(同社)

photo 従来のガラス製ピュアカラーフィルター(左)とダイレクトカラーフィルター(右)

 また、アンプ部/スピーカー部ともにオーディオコンポーネントの設計思想に基づいて開発するなどサウンド面でも同社のコダワリが満載。HDL(ロングスピーカー)モデルには、左右4方向にスピーカーの向きを調整できる「アコースティックスイングスピーカー」を搭載したほか、HDS(ショートスピーカー)モデルでは、ディスプレイ部の左右/下部のどちらでも取り付け可能な「2Wayアタッチメントスピーカー」を採用した。

photo PDP-505HDL/同435HDLには、左右4方向に調整できる「アコースティックスイングスピーカー」を搭載(写真はPDP-505HDL)
photo PDP-505HDS/435HDSは、スピーカー部をディスプレイの左右や下部に取り付けられる「2Wayアタッチメントスピーカー」を採用(写真はPDP-435HDS。左が左右取り付け、右が下部取り付け)

“プラズマ”でリーディングカンパニーに

 同社は今年2月に、PDP(プラズマディスプレイパネル)分野でNECとの事業統合を発表。PDP事業を担うNEC子会社のNECプラズマディスプレイのPDP事業を譲り受け、“プラズマ世界シェアナンバー1”を目指して事業拡大を図ってきた。今年4月には、それまでのホームエンターテイメントカンパニーからPDP事業を独立させ、「プラズマディスプレイビジネスカンパニー」を新設している。

 同カンパニープレジデントで同社専務執行役員の五月女勝氏は「1997年12月に世界初の50V型ハイビジョンプラズマTVを発表したが、早いもので今回は第5世代のプラズマTVを紹介することになった。社運をかけたプラズマTV事業では、NECとの統合という動きもふまえて新カンパニーとして独立。ブランドイメージの向上活動やさまざまな販促策を積極的に展開し、PDPのリーディングカンパニーとしての地位を確立していきたい」と同社のPDP事業戦略について語る。

photo 同カンパニープレジデントで同社専務執行役員の五月女勝氏

 「PDP世界市場は2006年には500万台と予測されるなど、急成長市場であることは間違いない。中でも、40型以上の占有率が年々上がっていくという予測は、大画面を中心に展開する我々にとって追い風。製造拠点のパイオニア・ディスプレイ・プロダクツ静岡工場では第3ライン(昨年8月稼動)まで立ち上がっており、業界ナンバー1の歩留まり率を誇っている。2005年完成予定だった第4ラインも前倒しで建設が進んでおり、今年の秋には本格稼動できる予定。NECとの事業統合が進む2005年には、年間100万台を超える生産規模になるだろう」(五月女氏)

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.