ITmedia NEWS >

国内で本格展開――デジタル家電向け次世代インタフェース「HDMI」

» 2004年06月07日 21時20分 公開
[西坂真人,ITmedia]

 最近、AV機器の入力端子の項目に「HDMI対応」の文字が少しずつ増えてきた。

 HDMIは「High Definition Multimedia Interface」の略で、1本のケーブルで映像・音声・制御信号をあわせて伝送できるインターフェース。ここ数カ月で発表されたHDMI搭載製品を見ると、パイオニアの50V/43V型プラズマTV「ピュアビジョン」、日本マランツのSACD/DVDプレーヤー「DV9500」、ヤマハの家庭用DLPプロジェクター「DPX-1100」と、いずれも最新技術を満載したハイエンド向けAV製品で目立つ。

 デジタル家電向けの次世代マルチメディアインタフェースとして注目されているこの新規格の“生みの親”ともいうべき米半導体企業Silicon Imageが6月7日、日本法人「シリコンイメージジャパン」の設立を発表。デジタル家電向けデジタルインタフェースLSIの日本市場での本格展開を明らかにした。

photo 同社CEO兼会長のデービッド・リー氏(左)や同社家電担当バイスプレジデントのジョン・ルモンチェック氏(右)らが出席した日本法人設立発表会

 HDMIは、PCとディスプレイとの接続技術「DVI(Digital Visual Interface)」の仕様をAV向けにアレンジしたもので、ソニー/日立製作所/松下電器産業/東芝の国内メーカー4社と、Philips/Silicon Image/Thomson Multimediaの海外メーカー3社の計7社が昨年仕様を策定。DVIはSilicon Imageが開発したデジタル映像インタフェース標準技術「TMDS(Transition-Minimized Differential Signaling)」をベースにしており、HDMIにもTMDS技術が採用されている。Silicon ImageがHDMIの“生みの親”たるゆえんだ(HDMIの詳細は2003年1月14日の記事参照

 同社家電担当バイスプレジデントのジョン・ルモンチェック氏は「HDMIは非圧縮のインタフェースなので、TV側にデコーダなど専用チップやソフトウェアなどが必要ない。すべての処理はAV再生機器(プレーヤー)側で処理できるため、ディスプレイ側の巨額の投資を避けられる。また、DVIでは対応しきれなかった家電製品ならではのハイクオリティな音声(サウンド)にも対応する。機器同士の接続を理解するインテリジェント機能も向上している」と、デジタル家電インタフェースとしてのHDMIの優位性を説明する。

 ユーザーとして一番メリットを感じるのが、シングルケーブル化による“シンプルな配線”かもしれない。

 ジョン氏は、今年1月に開催したCES 2004のパイオニアブースでのHDMIコーナーを例に、DVDプレーヤー/セットトップボックス/AVアンプといったAV機器構成で、HDMIを導入前と導入後の機器背面の配線がいかにシンプルになるかを説明した。

photo HDMIを導入前(左)と導入後(右)の背面の配線の様子

 「従来、丸一日かけてやっとセッティングできるようなAV機器の設置が、HDMIを使用することでたった2本のシンプルなケーブルで接続できるようになる。ユーザーにとっては設置だけでなく、インテリジェント機能によって性能も向上するメリットも生まれる」(ジョン氏)

 地上デジタル放送が開始され、もともと高品質映像へのユーザーの要求も高い日本市場は、HDMIの潜在ニーズがあるとジョン氏は指摘する。

 「急成長する日本の液晶テレビ市場がデジタル接続のデマンドを喚起する。世界のマーケットでも日本の家電メーカーが液晶テレビ市場を牽引している。そして来年には液晶テレビの8割が高解像度になるとの予測もある。ARIBの規格にもHDMIが盛り込まれた。HDMIは今後急速に普及していく。日本法人設立によって技術・営業両面でサポート体制を充実させ、HDMI開発企業として日本市場での新しい家電向けデジタルインターフェースの普及を加速化していく」(ジョン氏)

photo HDMIは今後急速に普及

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.