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“フルHD”の落とし穴――プラズマテレビはリビングに不向き?(2/2 ページ)

» 2004年06月18日 10時50分 公開
[西坂真人,ITmedia]
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 プラズマ/液晶に続く“第3の大画面テレビ”を目指すプロジェクションテレビ(PTV)陣営も「大画面だからこそフルハイビジョン対応がこれからのテレビに必須条件となる」とアピールする。

 5月にPTVで国内家庭用テレビ市場に参入したセイコーエプソンは、今年4月に行われた電子ディスプレイ専門展示会「EDEX2004」で、フルハイビジョン対応のプロジェクター/PTV向け1.3インチ高温ポリシリコンTFT液晶パネルを展示。新デバイスを使った大画面63.7インチの1080p対応リアプロジェクションTVを参考出展していた。フルHD対応の新デバイスは年内にもフロントプロジェクターで採用され、来年にはPTVにも展開する予定だという。

 日本ビクターも自社開発のプロジェクター/PTV向けデバイス「D-ILA」をフルハイビジョンに対応させた「HD-ILA」を今年後半から積極的に展開していくことを明言している。ソニーのプロジェクター向けデバイス「SXRD」もフルHD対応が売りだし、海外メーカーが力を入れるLCOSでもフルHD対応製品が相次いで発表されている。

大画面に求めるのは「リビングテレビ」か「映画館」か

 コスト面で“大画面に強い”といわれてきたプラズマ。確かに37/42V型では実売で1インチ1万円をほぼ達成しているし、先日バイ・デザインが発表した42V型プラズマテレビは、1インチ換算で7000円台・税抜き30万円以下という普及価格で登場した。

 ただし液晶も、第6〜第7世代サイズの大型ガラス基板生産が行える液晶パネルメーカー新工場が稼動する2005年になれば、大幅なコストダウンが期待できる。第6世代の生産ラインをいち早く立ち上げたシャープの例でも、今回の亀山新工場生産品は主力の37V型で前機種に比べて10万円以上の低価格化を図ってきた。

 「新工場の生産が軌道に乗る2005年度には、30インチ以上の大画面タイプでも1インチ1万円はクリアできる。採算を度外視すれば、50インチ以上の液晶テレビだっていつでも市場に出せる。軽量で低消費電力な液晶は、リビングテレビにもっとも適している」(シャープ)

 プラズマはブラウン管と同じ自発光型なので液晶のような残像が発生せず、画素を消灯させることで“真っ黒”を表現できる。最近は、その豊かな階調表現や色再現性を生かして36億2000万色57億5000万色といった液晶には真似のできない色数をアピールするようになった。

 “感性の映像表現”を重視したい映画視聴などではこのようなプラズマの特性が生きてくるだろうが、明るい部屋で気軽にテレビ番組を観る機会の方が映画鑑賞よりもはるかに多いリビングテレビでは、明所コントラストに優れた液晶の方が鮮やかな映像を楽しむことができる。

 液晶かプラズマか――。悩んでいるなら、あなたが大画面に求めるものを考えるといい。「リビングテレビ」か? それとも「映画館並みの映像」か?

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