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“フルHD”の落とし穴――プラズマテレビはリビングに不向き?(1/2 ページ)

» 2004年06月18日 10時50分 公開
[西坂真人,ITmedia]

 ボーナスシーズンを迎え、AV機器の新製品ラッシュが続いている。特にアテネオリンピックや近年の大画面ブームで、プラズマ/液晶といった薄型大画面テレビの発表が花盛りだ。

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 大画面テレビのニューモデルでは「地上デジタル放送対応」が当たり前になりつつある。昨年12月から3大都市圏でスタートした次世代の標準放送は今後も段階的にエリア拡大が進められ、2011年7月には地上デジタル放送に完全移行して現在の地上アナログ放送は終焉を迎えるからだ。

 地上デジタル放送の売りの1つに、1080p(1920×1080ピクセル)の高精細なフルハイビジョン放送がある。この「フルハイビジョン対応」が“これからのテレビ”の重要なポイントとなる。

 先日シャープが発表した45V型液晶テレビは、亀山新工場で生産した解像度1920×1080ピクセルのパネルを使ってのフルハイビジョン対応をセールスポイントにしていた。同社によると、地上デジタル放送に積極的なNHKでは、NHK総合(5時〜24時)でのハイビジョン放送の比率が約90%にまで拡大しており、アテネオリンピックでも210時間の放送枠の中で2/3以上の150時間がハイビジョン放送になるという。

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 フルハイビジョン対応液晶テレビでは、5月26日に三菱電機が37V型を発表したほか、6月10日には日本サムスンが世界最大46V型を発表するなど、日本のリビングに最適な40インチ前後の大画面液晶テレビで“フルハイビジョン化”がトレンドになりつつある。

プラズマテレビでリビング向けサイズのフルハイビジョン対応は無理?

 一方、家庭向けプラズマテレビでフルハイビジョン対応をうたった製品は今のところ登場していない。

 各社がリビング向けとして提案する37〜50V型のプラズマテレビはハイビジョン対応モデルでも720pまでで、松下電器産業が5月のVIERA発表会でお披露目した民生用最大の65V型も、ハイビジョン対応ながら解像度はWXGA(1366×768ピクセル)どまりだった。

 6月14日の新製品発表会でシャープの技術者にこの点を聞くと「小さい画面サイズからスタートした液晶は、もともと画素を細かくする技術を積み重ねてきた。一方、当初から40インチ以上の大画面テレビを目指していたプラズマは、画素が大きく作られている。仮にフルハイビジョンに対応するため画素を小さくする(高解像度化を行う)と、プラズマの放電が安定しなかったり輝度が低くなるといった問題が発生する。まったく不可能ではないが構造上/物理的に難しいのだ」と、自発光型プラズマテレビの構造自体がフルハイビジョン化を難しくしている点を指摘する。

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