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“2画面”と“タッチ”で誰もが簡単に――「ニンテンドーDS」の狙い

» 2004年10月07日 18時28分 公開
[西坂真人,ITmedia]

 任天堂は10月7日、次世代携帯ゲーム機「ニンテンドーDS(NDS)」の製品説明会(プレビュー)を開催した。

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 ニンテンドーDSは先日9月21日に、価格が1万5000円で発売日が12月2日と発表された。現在、テレビCMでは、歌手の宇多田ヒカルさんが楽しそうにNDSで遊ぶ姿が放映されている。

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 発表会の冒頭、会場のスクリーンにはこのNDSのCM撮影風景が映し出された。同社の岩田聡社長は「宇多田さんはNDSをとても楽しそうに遊んでくれた。実は、CM撮影にあたっては宇多田さんの素の反応をCMで表現したいということで、事前のリハーサルなしに撮影当日にNDSに初めて触ってもらった」とCM撮影の裏話を明かす。

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 このシーンに、同社がNDSで狙うコンセプトが集約されていると岩田社長は訴える。

 「宇多田さんは、ゲーム機の前提知識がなくても、あのようにすぐに楽しく遊んでもらえた。これを見て、われわれはNDSの当初の開発意図をしっかり実現できたという手ごたえをはっきりとつかんだ」(岩田社長)

 初代ゲームボーイが登場してから15年が過ぎ、その間にゲーム機やソフトの技術は格段に進歩した。だが、それとともにビデオゲームが複雑で難解なものとなり、幅広いユーザー層で“ゲーム離れ”を引き起こす要因にもなっている。

 「かといって、ただシンプルなゲームを提供するだけではゲーム熟練者への答えにはなっていない。初心者も熟練者も同じスタートラインから新鮮な気持ちで遊んでもらうために、従来のゲームではほとんど使われていない新しいインタフェースが必要だった。その答えがNDS」(岩田社長)

 NDSには携帯ゲーム機の新しい提案として、2画面/タッチスクリーン/ワイヤレス/マイク入力といった新インタフェースを装備した。

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 「一番分かりやすい特徴がタッチスクリーンによる直感的な操作。しかも2画面との相性もいい。下画面はコントローラーにもなり、それを触っていても上画面は見える。コントローラーでモードを切り替えなければならなかった操作が、下画面に表示できるようになった」(岩田社長)

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 もう1つの大きな特徴が、ワイヤレス機能だ。

 NDSには標準でIEEE802.11ベースと独自プロトコルの2方式のワイヤレス通信機能を装備。電波到達距離は10〜30メートルで、複数のNDSを使った多人数プレーも行える。

 「ワイヤレス機能で遊び方の構造を変えようというチャレンジ。従来GBAの対戦ゲームなどで利用していた通信コードを単に無線にしたというものではなく、ワイヤレス経由でプログラムを受け取って実行できる“ワイヤレスダウンロード”という機能を備えた。従来はゲーム機の台数分ソフトを揃えないといけなかったが、ワイヤレスダウンロードにより1つのゲームソフトを多人数で遊ぶゲームシェアリングが可能になった」(岩田社長)

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 このワイヤレスダウンロード機能を応用して、店頭試遊システムでも新しい試みが計画されているという。

 「店頭試遊台の新作ゲームを、手持ちのNDSに期間/回数制限をつけてダウンロードできるようにする。これにより食わず嫌いで終わってしまうゲームを減らし、続編中心になってしまっている現在のヒットチャートに、たくさんの新作が並ぶ状況を作っていきたい」(岩田社長)

 そのほか、上映中の映画のストーリーに連動して、手持ちのNDSにプログラムを配信するサービスも検討されており、来年夏のポケモン映画で、配信サービスを実施する予定だという。

 「年齢/性別/ゲーム経験を問わず、幅広い層に同じスタートラインで始めてもらってアピールできる“可能性あるゲーム機”であることを理解してもらいたい」(岩田社長)

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