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» 2004年10月25日 15時28分 UPDATE

“ブラウン管画質追求”の結論――東芝が初めて語る「SED」 (1/2)

次世代ディスプレイ「SED」を開発したキヤノンが、“SEDテレビ作り”に選んだパートナー「東芝」。これまで表舞台に登場しなかった東芝のSED開発担当者が、SEDの詳細と今後の展開について初めて口を開いた。

[西坂真人,ITmedia]

 薄型テレビ向け次世代ディスプレイの大本命として期待が高まる「SED(Surface-conduction Electron-emitter Display)」。キヤノンが開発したこの薄型ディスプレイは、先月9月14日に行われたSED新会社発表時にはパートナーの東芝と共同開発した32インチSEDテレビ試作機としてお披露目された。

 最先端のディスプレイデバイスがあっても、映像処理などの技術がないと“テレビ作り”はできない。キヤノンが、テレビ作りのノウハウを数多く有する東芝と手を組んだのもうなずける。だが、その東芝側のSED開発担当者が表舞台に登場することは、これまでほとんどなかった。

 先週開催されたFPD International 2004のセミナー「高画質2004」の中で、東芝でSEDの開発を担当するディスプレイ・部品材料統括 統括責任者の福間和則氏が登壇。SEDの詳細と今後の展開について語った。

photo 東芝 ディスプレイ・部品材料統括 統括責任者の福間和則氏

 SEDはFED(Field Emission Display:電界放出ディスプレイ)の一種で、ブラウン管並みの応答性や色再現性を厚さ10ミリ程度の薄型テレビで可能にするなど、ブラウン管とフラットパネルディスプレイの“いいトコ取り”を目指している。

photo SEDはブラウン管とFPDのいいとこ取り

 FEDは東芝/キヤノンが進めるSED型以外に、ソニーや双葉電子工業などが開発するSpindt型、Samsungやノリタケ伊勢電子が取り組んでいるカーボンナノチューブ(CNT)型がある。

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 古くから研究されてきたSpindt型は、電子放出点が均一で駆動電圧が低いといった優位性があるものの大型化が困難な点や電子直進性が悪いといった問題があり、かなりの微細加工が必要な点からも実用化には大きなブレイクスルーが必要という意見も少なくない。一方、カーボンナノチューブ型は大型化に有利だが、電子放出が不均一で駆動電圧が高いといったデメリットがある。

 「これまでのFED方式とは違い、SEDはナノスリットから出た電子が高電圧に引っ張られて蛍光体に衝突するため電子直進性がよく、薄膜の製造プロセスを多用するため大型化に有利で製造コストも低いといったメリットがある」(福間氏)

photo SEDの構造

ブラウン管を継承した画質

 テレビ向けディスプレイとして、高輝度/高い色再現性/広い視野角などのメリットで現在広く普及しているのがブラウン管。プラズマ/液晶といった薄型テレビの高性能化が近年著しい中、画質にこだわるユーザーや薄型テレビの画質開発担当者から圧倒的な支持を受けている“最高のディスプレイ”だ(10月22日の記事参照)。だが、大型化で重量が増えるその構造から、ブラウン管では40インチ以上の大画面が難しかった。

 「SEDは、東芝のブラウン管テレビで伝統的に採用されているブラックマトリックスを使い、蛍光体はブラウン管と同じもの(R:YOS系、G:ZnS系、B:ZnS系)をSED用に改良して使用するため、ブラウン管と同じような色再現性が可能となる。また、蛍光体充填密度/膜厚/画素サイズの厳密な制御が可能な微細加工技術を取り入れており、電子源もナノスリットから電子放出するため高電圧による影響が少なく高精細な画像が得られる」(福間氏)

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 また福間氏は、等しい方向に光が拡散していく自発光型こそが高画質なディスプレイの必須条件と訴える。

 「液晶は分子の傾きが視野角に悪影響を及ぼし、リアプロジェクション方式も拡散板での光拡散が不十分なため上下方向の視野角が狭くなる。SED、プラズマ、有機EL(OLED)のような自発光型でないディスプレイは、光の方向的な拡散で致命的な欠点がある」(福間氏)

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