一方、単板式DLPプロジェクターにはマイナス面もある。
言い換えれば、カラーブレーキングノイズがあまり見えず、階調表現も十分だと考えるならば、DLPの方が(現時点では)コントラストや色バランスの点で優れる場合が“多い”(決して絶対的なものではないが)。
ただしよく言われる寿命に関しては、透過型液晶パネルの改良もあって、実用上の差はさほど大きくない。フロントプロジェクターはテレビとは異なり、一日あたりの利用時間が少ないという背景もある。
優れた面があるにもかかわらず、透過型液晶プロジェクターが市場の中心にある理由は、素子のコストが高いためだ。たとえばep7122が採用するXGA解像度のDMD素子を用いたホーム用プロジェクターは、これまで実売で30万〜50万円程度と高価だった。
ところが本機はホーム用にコントラストや色純度を重視した作りながら、20万円台前半の低価格を実現し、解像度720pの透過型液晶プロジェクターとの価格差はかなり縮まっている。
さて、実際に本機を動かしてみると、まずはその鮮烈な色に驚かされる。方式を問わず、他社のホームシアター向けプロジェクターとは全く異なる異次元の色だ。彩度やコントラストが伸長され、絵画的なほどに派手な画が出てくる。
画質を語るときテレビ調、あるいはフィルム調といった表現が使われる事があるが、本機はそのどちらにも当てはまらない。ややS字を描くトーンカーブはフィルム的な表現とも言えるが、彩度強調した画はテレビライクでもある。もっとも印象的に近いのは、北米のカラー印刷物。北米で発刊されているカラー写真を中心にフィーチャーした雑誌は、コントラストや彩度が高く、コッテリとした色ノリのものが多い。本機の画像はそれに近い印象である。
色温度設定はデフォルトで違和感なく、赤くも、黄色くも、青くもないニュートラルなもので好感を持ったが、色再現の派手さに関しては強い違和感を感じた。アナログの地上派放送は、それでもさほど気にならないが、ハイビジョン放送や映画のDVDでは彩度を控えめにカスタマイズした方がいいだろう。基本的な絵作りはきちんとしているので、派手な色遣いを抑え込めば、DLPらしい立体感のある画を楽しめるはずだ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR