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「もうBDのことは気にしていない」〜東芝、山田氏2005 International CES(2/2 ページ)

» 2005年01月10日 07時26分 公開
[本田雅一,ITmedia]
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 「インタラクティブ機能の骨格が2月に決まり、それを元にして3月にはドラフト仕様のバージョン0.9が発行される予定です。その次のDVDフォーラム幹事会は5月になりますが、現在のDVDフォーラムは幹事会を待たずに仕様承認を行う手順がありますから、4月には最終仕様の承認を行えると考えています」。

──年末までに全米での発売しようとすると、大手流通に対して6〜7月には商品を見せられる状態でなければなりません。全米一斉発売は可能なのでしょうか? それとも限定的な発売になるのでしょうか?

 「今回のCESで出展しているHD DVDプレーヤーを、ほぼそのままの形で発売しようと考えています。もちろん、HD DVD側のスペックが確定しなければなんとも言えませんが、きちんと決まりさえすれば、問題なく製品としてフィックスできると思っています」。

──最初に発売されるソフトで、HD DVDの品質が問われることになります。映画スタジオはHDマスターを持っていますが、品質レベルはまちまちです。急いで制作して、インパクトを与えるだけの画質は確保できるでしょうか?

 「最近はDVD化を行う際に、HDテレシネでマスターを作っていますから、各社ともHD品質でのデータを保有しています。しかし、HD DVDの品質を高めるにはテレシネをやり直さなければならないものもあるでしょう。逆にテレシネを行わなくていいタイトルならば、ごく簡単な作業だけでHD DVDを作れます」。

青紫レーザーは社内調達で50ドル以下が可能

──HD DVDプロモーショングループの発表時、青紫レーザーを社内調達できると話していました。では社内調達することで、どこまでコストを下げることが出来るのでしょうか?

 「青紫レーザーに関しては、以前に発表(2003年のCEATEC)してます。また、HD DVDブースでは3社が青紫レーザーの展示を行っています。社内調達ですが1個あたり50ドルよりも安くなるでしょう」。

──HD DVDプレーヤーは1000ドルとアナウンスされていますが、それで利益は出る計算なのでしょうか?

 「いや、利益は出せません……とは言いいません。現実的には青紫レーザーのコストに大きく依存するでしょう。もし50ドル以下で調達できるならば利益は出ます」。

──日米同時発売となっていますが、日本での状況を教えてください。

 「日本のコンテンツベンダーは、DVDの時にやや出遅れて商機を失った反省もあり、今回はハリウッドと同じぐらいに気合いを入れて取り組んでくれそうです。またデジタル制作の最近のアニメならば、元からHD解像度で制作しているものが多く、映画よりもHDコンテンツ化が行いやすいという面もあります。日本でも基本は同時発売ですから第4四半期になりますが、やや早めに(日本市場に)投入したいという気持ちもあります」。

“もうBDのことは気にしていない”

──BD側に賛同している映画スタジオも少なくありません。今後はどのようにHD DVDのプロモーションを進めていくのでしょう?

 「もう、現時点においてBDのことは、ほとんど気にかけていません。あとはわれわれが作ってきた製品を店頭に並べるために努力していくだけです。規格争いの時期ではなく、実際にモノを作る段階だと思います」。

──発表以降、各国のプレスや関連各社とのミーティングを持ったでしょうが、具体的なタイトルを発表した後の率直な感想は?

 「状況を把握している方からは“これで勝負アリなのでは”とも言ってもらいました。われわれの提案していた規格を採用してもらえたのは、やはりROMメディアの複製コストを下げやすいからです。録画用ならば話は別ですが、パッケージメディアとして使う場合は1枚あたりの複製コストが50円以下でなければなりません。BDの場合、相当多くの数を出さなければ、コスト面で勝負にはならないでしょう」。

(続く)

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