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HDDプレーヤーにも私的録音録画補償金が?(2/2 ページ)

» 2005年01月24日 18時19分 公開
[渡邊宏,ITmedia]
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HDDポータブルオーディオにも私的録音録画補償金が?

 「優先して対応すべき著作権法上の課題の抽出を行う」として6回の審議が行われた法制問題小委員会からは、以下の8つの検討課題が提出された。

 「私的録音録画補償金の見直し」「権利制限の見直し」「私的使用目的の複製の見直し」「共有著作権に係る制度の整備」「著作物の利用権に係る制度の整備」「保護期間の見直し」「政令などへの委任」「表現・用語の整理など」

 いずれも重大な問題ではあるが、早急に結論を得ることが不可能であると考えられる問題もある。「検討課題全体が結論を見るには少なくとも3年程度は要すると考えられるが、比較的短期間で結論が出ることが見込まれる問題については、平成17年秋頃をめどに報告をとりまとめたい」(法制問題小委員会主査 東京大学教授 中山信弘氏)

 検討課題のひとつ、「私的録音録画補償金制度」は、デジタル方式の録音・録画機器および記録媒体を用いて行われる私的な録音・録画に関し、著作権者が補償金を受ける権利を有するという制度。平成4年から導入されており、現在はMDやDVDのブランクメディアなどが、同制度で定められた補償金を上乗せした価格で販売されている。

 しかし、iPodなどを始めとしたHDDを搭載したデバイスは同制度の指定する範囲には含まれていないほか、HDDレコーダーや”テレパソ”なども「デジタル方式で録音・録画」できるにもかかわらず、同制度の指定外となっている。

 これらの機器は、録音・録画もできるがデータ記録もできるという汎用性があるために、現時点では同制度の対象にはされていないが、現実的な利用法とかい離していることは確かであり、「実体をふまえて検討する」と同委員会では報告している。また、対象機器・記録媒体を政令で個別指定するという現在の指定方法についても、法技術的な観点から見直しが可能か検討する、と報告された。

 提出された8つの検討課題のほか、「デジタル対応」「契約・利用」「司法救済」といたったテーマについてはワーキングチームを設け、そこでの検討を経たうえで来期の同委員会で検討を進めていくことが決定した。

 また、ある問題について関係者間での話し合いがすでに持たれている場合には、必要に応じて関係者を著作権分科会などに招致し、直接意見を聞くなどすることが提案された。従来、著作権分科会などでは関係者同士の協議をまず優先し、その結果をふまえた上で、問題についての検討を進めていたが、提案が具体化すれば、より踏み込んだ姿勢で問題解決に向けて取り組んでいく姿勢を示すことになるだろう。


 今回行われた報告会によって、今期における文化審議会著作権分科会の活動は終了したが、著作権に伴う問題は現在も山積しており、早ければ2月中にも第15回の文化審議会著作権分科会が開催される見込みだ。

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