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第18回 桜の色とディテールの関係今日から始めるデジカメ撮影術(1/2 ページ)

» 2005年03月24日 10時00分 公開
[荻窪圭,ITmedia]

桜撮影の基本

 花見の季節。別に花見などしなくても3月下旬になればそこかしこで桜が咲き乱れるさまを堪能でき、4月に入ったかなと思うとあっという間に散ってしまう。はかなさと言ってしまえばそれまでだけれども、一瞬にして満開になり、さんざん風景を染めたあとで一気に散る潔さもあって、デジカメを持ってる誰しもがその光景を記録に残したいと思うだろう。

 だがしかし、桜は2つの意味で難しいので心してかからねばならないのだ。

 1つめは「桜の色は何色?」である。

 桜は桜色。あまりにも桜の咲いている期間が短い上に、桜への思い入れが強いため、日本人の頭の中には「桜の色」がイメージされているのだが(一種の「記憶色」だ)、実は桜の花というのは頭の中のイメージほど「色は付いてない」のである。

 多くの人が桜といえばイメージするのが「染井吉野」で、多くの花見はこの桜の木の下で行われるのだが、この染井吉野はかなり白に近い桃色なのだ。たぶん、頭の中の桜のイメージより薄い色だと思う。だから普通に撮ると「桜は限りなく白く」写る。で、あとからその写真をみて「桜といえばもっと色づいていた気がするんだけど」となる。

 もちろん木によって微妙に花の色は違う。限りなく白に近い桜もあれば、薄ピンクに色づいている桜もある。いい感じの桜を見つけると、1つ1つは薄い色だけど、それが幾重にも重なってきれいに青空に映えることで、いい感じのほんのりしたピンクとなり、幻想的な風景を醸し出すのだ。

 もっと色が濃い桜もある。1月下旬から咲く「河津桜」は結構鮮やかなピンク色だし、「八重桜」もほわっとしたピンク色の花が多い。色鮮やかな桜をイメージしたいときは染井吉野以外を狙うのも手。

染井吉野は白に近い
河津桜はピンク色

 2つめはデジカメって遠くにある木々のようにすごく細かいものの描写はあまり得意じゃないということ。広角で画面一杯に桜の木々があるような風景はハイエンド機やデジタル一眼レフならともかく、コンパクト機にはちょっとつらいのだ。

ちょっと前のデジカメだとこんなこともあった。レンズの周辺部で画質が落ちたり、遠くの花が不自然にもやっとしている

 よって、基本は2つ。1つめは無理にピンク色に撮ろうと思わないこと。桜といってもいろいろあるので、「桜色」のイメージで撮りたいなら、そういう桜を探すべし。ほんと、白に近い桜もあるしピンクに近い桜もある。さらに天候によっても微妙の花の色が変わってくる。

 2つめは必ず一番大きな画像サイズの一番いい画質(FINEやSUPER FINEなど)で撮ること。そうしないとディテールが出ないのだ。

桜をいろんな構図で撮ってみよう

 桜は非常に淡い。淡いから撮り方によってはきれいにも汚くもなるし印象的にも何を撮ったか分からない風景にもなる。できればテーマをはっきりさせて撮ろう。

 マクロで桜を撮る。

 桜の花はとてもはかなげできれいである。桜の名所へ行けば、木の前に三脚を立てて花に思いっ切り近寄って写真を撮っている愛好家がたくさんいるはず。肉眼で、日差しが当たっていて逆光すぎずなおかつきれいな花を探し、マクロで撮るのだ。注意すべきはピント。マクロ撮影時はピントの合う範囲が狭くなるので、ちょっと風が吹いたりカメラが動いたりしただけでピントがずれてしまうのだ。特に風は大敵。よって、桜の花を思いっ切り寄って撮りたいときは、マクロモードにし、何枚も撮るべし。液晶モニタではピントが合っているかどうか分かりづらいから、家に帰ってからチェックしてピントがうまく合っているものを選ぶのだ。近づきすぎると、ピントがおしべには合っているけど花びらに合っていないとか、手前の花びらに合っているけど奥には合っていないということが起きる。

 マクロにはしなくてもズームで桜の木の一部に迫るのも手。桜の花びらの微妙な形状の風合いを撮りたいなら木全体より、ズームで木の一部に迫った方がいいのだ。

河津桜を逆光気味でマクロで撮影
望遠側で撮影。後ろの枝がいい感じにボケてくれた

 他の風景とからめて撮るのもいい。

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