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パイオニア、DVD-R DL対応のDVDレコーダー2機種を発表(1/2 ページ)

» 2005年03月31日 13時50分 公開
[芹澤隆徳,ITmedia]

 パイオニアは3月31日、普及価格帯のDVDレコーダー「DVR-530H」と「DVR-555H」を発表した。民生用レコーダーとしては初めて、片面二層のDVD-Rディスク“DVD-R DL(Dual Layer)”に対応し、あわせて新しい録画モードを搭載。一枚のDVDに24時間分の番組を記録できるという。価格はオープンプライスで、5月上旬から順次発売する。

photo 「DVR-555H」。530Hとの違いは、HDD容量のほか、USB端子(後述)とゴーストリダクションチューナーの有無
型番 DVR-530H DVR-555H
記録DVDメディア DVD-R/-RW☆2☆
HDD容量 200Gバイト 250Gバイト
チューナー 地上アナログ 地上アナログ(GRT)
実売予想価格 7万円程度(※1) 8万円程度(※1)
発売日 5月上旬 6月上旬
※1:価格はオープン

 DVD-R DLは、今年2月にDVDフォーラムで正式規格となったばかりの新規格だ。記録容量は片面2層で8.5Gバイト。今のところビデオモードのみだが、従来の約1.8倍という容量を実現している。記録速度は2倍速と4倍速の2つ。気になる再生互換性に関しては「2層式はDVDビデオでも一般的に使用されているため、互換性は高い。現在販売しているDVDプレーヤーでもほぼすべての機種で再生が可能だった」としている。

photo DVR-530H。前面の配色が若干異なる

 これに伴い、上位機に搭載した「DianaCircuit」(ディアナサーキット)の設計思想を受け継ぐという新しいMPEGエンコーダーを搭載し、画質の向上と録画モードの拡大を図った。具体的には、平均14.82Mbpsのビットレートを持つ「XP+」モードと、逆にビットレートを下げた長時間録画モードを追加。XP+モードと同様の録画モードは他社製品にも見られるが、「動きベクトル制御などのオーバーヘッド情報を極力削減して動画に割り当てるビットレートを上乗せしており、他社と比較しても画質は上だ」(パイオニアAVビジネスカンパニー、ビデオ企画部の渡辺明彦主事)という。なお、XP+モードはHDD録画時のみ使用できる。

photo 動きベクトル制御などのオーバーヘッド情報を極力削減して動画に割り当てるビットレートを増やした

 長時間モードは、マニュアル設定で選択できる「MN1」モード。平均ビットレートは0.75Mbps、解像度はCIFとなるため、画質は“それなり”だが、2層式DVD-Rと組み合わせれば1枚のメディアに最大24時間もの番組を録画可能になる。「1時間ドラマなら1クール、30分間のアニメなら1年分(48回)を1枚のDVDメディアに保存できる」。

 また、新MPEGエンコーダーは、多くの人が常用する「SP」モード(標準モード)にも解像度の向上という恩恵をもたらすという。従来機種の「DVR-525H」では、1枚のDVDメディアに3.5時間録画するモードではハーフD1だったが、今回はフルD1解像度を実現。2層式メディアを使えば標準画質で6時間分をDVD1枚に記録可能だ。

photo 3.5時間モードを従来製品と比較(画面の一部を拡大)。解像度が向上している

 HDD録画の際に動画情報を解析し、DVDダビング時にビットレートを適切に配分する「2パスプロダビング」も搭載。動きの激しいシーンにはより多く、動きのないシーンには少なく情報を割り当てることで、同じ容量のメディアでも画質を向上させている。

photo 2パスプロダビングの概要。HDD録画時にGOP構造情報などからデータを取得、DVDダビング時のビットレート配分を最適かする
photo 青い部分が2パスプロダビングを行ったときのビットレート。従来のVBRに比べ、よりダイナミックにビットレートを割り当てている(クリックで拡大)

 ダビング速度も向上した。「DVR-530H/555H」に搭載されたDVDドライブは、DVD-Rが最大16倍速、DVD-RWは最大6倍速の書き込みに対応した新型となり、「MN1モードを16倍速記録対応DVD-Rメディアに高速ダビングするなら“最大100倍速”」。1時間番組を約40秒でダビングできる。

 なお、16倍速対応DVD-Rや6倍速対応DVD-RWのメディアはまだ市場にはないが、メディアメーカーが順次サポートしていく見込みだ。同日、日本ビクターが6倍速対応DVD-RWメディアを発表している(関連記事)

高速&気がきくユーザーインタフェース

 「DVR-530H/555H」のもう一つの大きな特徴は、新しいユーザーインタフェース(UI)だ。東京大学先端科学技術研究センターと共同開発したという新UIのコンセプトは「操作性とレスポンス」。基本的に十字キーと決定キーだけで操作できるスタイルとしたほか、複数タイトルの一括選択や、ポップアップ画面による“ヘルプ機能”を搭載している。

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