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» 2005年04月29日 22時23分 UPDATE

麻倉怜士の「デジタル閻魔帳」:プラズマテレビは生き残れるか (1/4)

ソニーなど大手メーカーの事業撤退、液晶の躍進とリアプロTVの台頭など、プラズマテレビを取り巻く環境が厳しい。果たして生き残れるのだろうか。マルチメディア評論家の麻倉怜士氏がプラズマテレビの過去、現在、そして未来を語った。

[西坂真人,ITmedia]

 最近、プラズマテレビに逆風が吹いている感がある。

 発端は、昨年末の「ソニーのプラズマ撤退報道」だろう。それが引き金となったかのように「40インチ以上はSED(Surface-conduction Electron-emitter Display)に傾注」との姿勢を見せる東芝、「大画面ではリアプロTVのラインアップを拡充」とする三菱電機など、プラズマ市場から事実上撤退するメーカーが相次いでいる。また、PDPを主力事業とするパイオニアの不振も不安材料の1つだ。

 一方、“薄型テレビのライバル”である液晶テレビは好調で、第7世代の大型パネルを狙うS-LCD(ソニーと韓国Samsung Electronicsの液晶合弁会社)がいよいよ出荷するというニュースが飛び込んできたり、液晶事業の好調で過去最高決算を記録したシャープは、いよいよ65V型の商品化の声も聞こえてくるなど鼻息も荒い。店頭でも、明所コントラストが高く見栄えがいい液晶テレビに人気が集まっている。

 加えて、北米から火がついたリアプロTVが国内市場でも台頭してきて“大画面”というセールスポイントを奪い、さらに後方からはSEDという強力なライバルが虎視眈々と大画面テレビ市場を狙っている。

 “壁掛け可能な夢の大画面テレビ”として期待されていたプラズマテレビだが、四面楚歌の大画面テレビ市場で果たして生き残っていけるのだろうか。

 マルチメディア評論家の麻倉怜士氏に最新の業界動向、AV製品の独自分析/インプレッションなどを聞き出す月イチ連載「デジタル閻魔帳」。今月は、プラズマ関連の著書も多い同氏に、プラズマテレビの過去と現在、そして未来を語ってもらった。

photo 今回は麻倉氏の自宅でインタビューを収録。あらゆるディスプレイを所有する同氏宅には、もちろんプラズマディスプレイもある。

苦難を乗り越えてきたプラズマの歴史

――最近、プラズマテレビの将来を危惧する声が聞かれますが?

麻倉氏: 確かにソニーのプラズマ撤退報道の後は、そういう声をよく耳にします。ですが私は決してそうは思いません。むしろ、プラズマのニーズは今後さらに高まると見ています。プラズマならではの映像表現の世界が、これからの映像時代に非常に重要な意味を持つようになるからです。今は過渡期の状況。確固たる価値と地位を持ったデバイスは消え去ることはないのです。

――2003年にプラズマテレビの本(「ハイビジョン・プラズマALIS」の完全研究、オーム社)を出すなど、プラズマ関連の取材を精力的に行っていますよね。現在のような逆風は過去にもあったのでしょうか?

麻倉氏: プラズマの開発には非常に長い歴史があり、1960年代にイリノイ大学で発明されたものは、当初は光メモリとしての用途でした。その後は日本の研究者が開発を引き継ぎ、30年に及ぶ開発の歴史を経てディスプレイとして実用化されたのです。

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