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» 2005年06月08日 05時31分 UPDATE

いつでも“ベストショット”――デジカメ向けの新技術が登場 (1/2)

旅行や結婚式の集合写真で、一人だけ目を閉じてしまったという経験はないだろうか? しかし安心してほしい。電気通信大学・金子正秀教授の研究室で、いつでも“ベストショット”を撮影できるデジタルカメラ向けの技術が開発された。

[芹澤隆徳,ITmedia]

 旅行や結婚式の集合写真の中で、一人だけ目を閉じてしまった。友人に笑われ、自分もなんだか損をした気分になってくる――そんな経験はないだろうか? まばたきは生理現象だから仕方ないが、シャッターのタイミングに重なるのは運が悪い。

 しかし安心してほしい。いつでも“ベストショット”を撮影できるデジタルカメラ向けの技術が開発されている。

 電気通信大学、大学院電気通信学研究科の金子正秀教授の研究室で開発したのは、集合写真に写っているすべての人がしっかり目を開けている写真を出力する技術だ。その仕組みは、シャッターを押してから0.5秒の間に15枚を連続撮影し、撮影画像の中に全員が目を閉じていないベストショットがあればOK。誰かがまばたきをしていたら、ほかの画像から目の部分を切り出して“はめ込む”というものだ。

 仕組みは理解できるが、よく考えるといくつかの疑問が浮かんでくる。大勢が写っている集合写真の中で、目を閉じている人間をどうやって判別するのか。はめ込む際に目の部分がずれたりしないのか。デジカメ内蔵のCPUで処理をまかなえるのか。そもそも、デジタルカメラで0.5秒間に15フレームもの連続撮影が行えるのか。東京・調布市にある電気通信大学を訪ね、詳しい話を聞いた。

photo 大学院電気通信学研究科の金子正秀教授。今回の“ベストショット技術”は、卒業生の入江淳さんと研究を進めてきた

 金子教授によると、開発のきっかけは、ロボット用アプリケーションとして開発を進めていた顔認識技術だという。たとえば、パートナーロボットの中には、カメラの映像からユーザーの顔を識別し、話かけるものがある。

 「学生と話をしているときに、顔認識技術をデジタルカメラに応用することを考えました。もちろん、現在でも写真をPCに取り込んで画像を合成することは可能ですが、自動的にベストショットを出力するデジカメができたら面白いだろうと」(金子教授)。

まばたきを判別

 しかし、顔の一部を合成する場合は、同じアングルの画像が少なくとも2つ以上必要になる。また多くの人が一度に写る記念撮影の場合、まばたきしてしまう人も1人とは限らない。

 「一般的に、人のまばたきの回数は1分間に約20回。一回あたり0.2秒から0.3秒といわれています。このため、幅をとって0.5秒間に15枚の連写を行うことにしました。0.5秒あれば、撮影画像の中に目を開いた画像があることになります」。

 今のところ、そのスピードで撮影できる汎用のデジタルカメラはビデオしか存在しない。解像度こそ640×480ピクセルに制限されてしまうものの、毎秒30フレームの撮影が可能なビデオカメラなら0.5秒の間に15フレームを取り込める。そこで実験では、ソニーのDVカムコーダー「DCR-VX2000」を使用した。

 撮影した15枚の画像は、PCに取り込み、専用のアプリーションで処理するのだが、検出精度を向上させるため、開発したソフトウェアは、「顔」「目」「まばたき」の順番で対象を絞り込んでいく形とした。

photo ベストショットのおおまかな流れ

 まず、最初に入力した画像から肌色の部分を抜き出し、特徴点抽出の技術と合わせて“顔の領域”を推定する。次に、顔領域の中で黒っぽく、かつ輝度の高い部分を特定して“目の候補領域”とする。

 「肌色と黒という色の違いで区別すると同時に、顔領域に低輝度通過フィルタをかけています。これは、目や髪の毛は輝度が高いことを利用した検出方法です」。

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