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» 2005年08月25日 20時25分 UPDATE

私的録音録画補償金、制度見直し?――結論は出ず

文化庁文化審議会著作権分科会 法制問題小委員会が行われ、9月に著作権分科会へ提出される中間報告書についての検討が行われた。私的録音録画補償金制度の見直し/廃止についても言及されたが……。

[渡邊宏,ITmedia]

 文化庁文化審議会著作権分科会 法制問題小委員会が8月25日に行われ、9月に著作権分科会へ提出される中間報告書(「審議の経過(案)」)についての検討が行われた。

 音楽関係7団体が「iPodへも課金を」と強く要望するなど、注目されていた私的録音録画補償金制度だが、これまでの審議経過からも予想されたように「実態をふまえて調査する」とされ、明確な結論は出されなかった。

 この審議の経過(案)にて、私的録音録画補償金制度の課題として挙げられたのが、「HDD内蔵機器の追加指定に関して、実態をふまえて検討する」「いわゆる汎用機器/汎用記録媒体の取り扱いについて、実態をふまえて検討する」「対象機器/記録媒体の政令による個別指定という方式に関して、法技術的に観点から見直しが必要かどうか検討する」の3つ。

 汎用機器/媒体の追加指定については否定的な意見が多く見られ、現行政令指定方式の変更についても、法的安定性/明確性の観点から、現行制度下では現行方式を変更すべきではないと報告された。しかし、いずれも明確な結論としてまとまるところまでは到達しておらず、HDD内蔵機器の追加指定についても「特定の結論に意見を集約するに至らなかった」と、審議の継続を促す内容となった。

 経過(案)にて注目されるのが、「その他」として「私的録音録画補償金制度の課題について」という項目が追加されたこと。本来、私的録音録画補償金の見直しについて法制問題小委員会が検討すべき課題としていたのは、先に挙げた3点であり、私的録音録画補償金制度そのものについては審議の対象として設定されていなかった。

 制度の諸問題について議論を深めていくうち、制度そのものを議論の対象として捉えるに至った流れは自然なものであり、経過(案)に付記されたことは不自然ではない。しかし、「補償金制度の立法を基礎づけた事実、すなわち私的なデジタル録音・録画がどのような実態で行われ、権利者の利益へどのような影響を与えているのか」について継続的に調査したうえで、制度存続の可否、段階的縮小の可能性などについて具体的かつ詳細な検討が必要となるとまとめている。

 「経過案としてはこれでいいと思うが、制度自体の課題については、報告として提出するにあたり、もう少しに煮詰めないといけない」。そう発言した委員がいるよう、制度自体の正当性/妥当性についてと、廃止後をもにらんだ枠組み作りには、さらなる議論と検討が必要である。しかし、当初は審議対象とされていなかったテーマがここまで浮上してしてくること自体が、私的録音録画補償金制度そのものが抱える問題の大きさを示しているといえる。

 今回審議された「審議の経過(案)」は、「審議の経過」として9月8日に行われる予定の著作権分科会で報告されたのち、一般からの意見募集が行われ、最終的には12月に著作権分科会の名前で公開される予定となっている。

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