デジタル一眼レフ隆盛におされて、ハイエンドのレンズ一体型デジカメの売れ行きが鈍っていると聞くが、そこに果敢に挑戦してくるメーカーもある。2004年以前のハイエンドモデルとの一番の違いは価格だ。かつてこのクラスは10万円を超えていたが、今はそれではデジタル一眼レフに勝てないため、8万〜9万円あたりが勝負となろう。
既に発表されているだけでも、松下電器産業の「DMC-FZ30」と今回紹介する「FinePix S9000」(以下、S9000)があるし、他にも出てくる可能性がある。富士写真フイルムいわく「ネオ一眼」。徹底的に一眼っぽいデザインと操作性を追求しているのが特徴だ。
まずはレンズ。これが28〜300ミリ相当の10.7倍ズーム。一眼レフの世界でもタムロンやシグマといったレンズメーカーの28〜300ミリ(デジタル一眼レフでは同等の画角となる18〜200ミリ)が大ヒットしている。普通の人は「コレ1本あれば他はいらない」というくらい広角から望遠までフォローしている焦点距離で、レンズ交換ができない製品としてはいい落としどころだ。
明るさもF2.8〜4.9と結構がんばっており、広角端での歪みも少なく安心して撮れる。最短撮影距離はマクロ時は広角側で10センチ、望遠側で90センチ。スーパーマクロにするとワイド端のみだが1センチまで寄れるようになる。
ズーミングはもちろんリング式。リングの回転に応じてレンズがせり出てくるメカニカルな方式だ。だから瞬時に目的の画角を得られて気持ちいい。電動ズームにはない感触だ。また、ボディからレンズ部が飛び出たデザインのため、左手でレンズ部を保持して構えられるので撮るときも安定する。レンズ径は58ミリで市販のフィルタなどを装着可能だ。
レンズ部のボディからのはみ出しは75ミリちょっと。十二分に本格的な大きさで、さらにボディも一眼レフなみ。幅が128ミリで高さは93ミリある。重さも撮影時重量で700グラムを超える。デジタル一眼レフ+28〜300ミリ相当のレンズに比べればコンパクトだがちょっとずしっとくる。でもその分持ったときの安定感が違うし、グリップもしっかりしていて握りやすい。持った感触の安定度は非常に重要だ。
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