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» 2005年09月29日 18時51分 UPDATE

“コンセントからHD映像”も近い?――松下のHD PLC

松下電器産業は、「CEATEC JAPAN 2005」に出展するHD-PLCの技術説明会を開催。電灯線通信でハイビジョン映像の伝送、IP電話、PCデータ伝送を同時に実行する“トリプルプレイ”を披露した。

[ITmedia]

 松下電器産業は9月29日、HD-PLCの技術説明会を催した。同日発表したHD-PLC専用LSIと評価ボードのほか、10月の「CEATEC JAPAN 2005」に先駆けてデモンストレーションの内容を一部公開。電灯線通信でハイビジョン映像の伝送、IP電話、PCデータ伝送を同時に実行する“トリプルプレイ”を披露した。

photo デモ風景。ハイビジョン映像の伝送、IP電話、PCデータ伝送を同時に実行中
photo HD-PLCの評価ボード(左)と専用LSI「MN1A92080L」。wavelet OFDMを実装したPHY部、データ伝送を制御するMAC部、CPUを内蔵している。評価ボードは12月から、単体チップも2006年4月からサンプル出荷を始める予定だ

 松下の「HD-PLC」は、2004年の「International CES」で発表した高速電灯線通信技術。ホームネットワークを想定したもので、モデムの電源ケーブルをコンセントに挿すだけで、家中に敷設されている電灯線を最大170Mbps(PHY速度)の伝送路にする。

 実際のスループットは90Mbps程度というが、たとえば24Mbpsのハイビジョン映像なら3本を同時に流すことができる。TDMA(Time Division Multiplex Access)ベースのQoSも実装しているため、映像信号やIP電話のように連続性が求められるアプリケーションは優先的に伝送可能。インターネット利用を考えても、光ファイバー(一般的には最大100Mbps)の回線速度をスポイルしないレベルだ。「FTTHの終端装置にモデムを付ければ、家の中がすべてブロードバンド化する」(パナソニックコミュニケーションズ、PLC推進室の宮崎富弥氏)。

photo ドライヤーのような家電製品を使ってもHD伝送に影響はない、というデモ

 家庭内のネットワーク手段としては無線LANやイーサネットが普及しているが、有線ネットワークは既築の住宅やマンションに敷設するのはコストと時間が必要で、無線LANも厚い壁を透過するのは難しい。対してPLCは、各部屋を確実につないでおり、また機器にモデムが内蔵されれば、コンセントにつなぐだけで高速なホームネットワークに参加できる。同社ネットワーク開発センターの有高明敏氏は、「PLCの魅力は、ユーザーにとって一番負荷が少ない方法であること。ネットワークの手段はいくつもあるが、松下としてはPLCをメインに使っていきたい」と話している。「将来的には、すべての松下製品にモデムを内蔵したい」。

 ただし、HD-PLCを含む高速電灯線通信技術(High Speed PLC)が使用する2M〜30MHz帯には、短波放送、アマチュア無線、船舶無線などが存在しているため、今のところ国内では利用不可。漏洩電磁界低減技術の開発を目的とした実験のみ、免許が下りるという状況だ。

規制緩和は来年?

 HD-PLCの漏洩電磁界低減技術としては、まずwavelet変換OFDMによるフレキシブルなフィルタが挙げられる。wavelet OFDMでは、従来のFFT OFDMと異なり、各サブキャリアの帯域が制限されている。このため、サイドローブの出方が少なく、狭帯域で干渉が生じた際も、深いノッチを任意に作成できるという。

 また通信路推定技術や、基板のモジュール化により、通信時の平衡度を改善した。たとえばコンパクトにまとめたモジュールにより基板グランド面積を小さくした結果、コモンモード電流が減少して漏洩電界は低減。「検証を進めているところだが、十分に弱い輻射になっている」という。

 「年内もしくは2006年はじめには規制緩和の作業に入ることができると思う。来年の今頃には、(規制緩和が)実現しているかもしれない」(有高氏)

 一方、低インピーダンスの家電製品を使用すると特定の周波数帯にノイズが発生してPLCのスループットを低下させることがあるが、短波帯を使うHD-PLCの場合は「携帯電話のACアダプタ」が問題。ただし同社によると、「実証実験では問題になることはなかった。また障害が発生しても、インピーダンスアジャスタなどを使用して回避できる」としている。

 CEATEC JAPANの同社ブースでは、6台のPLCモデムを使用し、複数の通信設備がある環境でも輻射される漏洩電界が抑制されていることを検証する予定だ。各モデムには、IP電話、ネットワークカメラ、PCなどを接続。そばにはループアンテナとスペクトラムアナライザーを設置し、モデム稼働時と非稼働時の漏洩電界を観測・比較するという。

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