「いいとこ観」を装備したダブルハイビジョン録画「Wooo」（後編）：レビュー（3/3 ページ）

[坪山博貴，ITmedia]

　ダビングと予約録画を並列して実行する際の制限は少ない部類に入る。DVDへの高速ダビング時には録画予約での2番組のTS録画も可能で、MPEG-2録画も実行できる。またDVDへの等速（レート変換）ダビング中でもレコーダー2では録画予約が実行可能だ。MPEG-2エンコーダーは1つという部分で組み合わせの制限は発生するが、基本的には等速ダビングとレコーダー1のMEPG-2録画が重ならないように注意すればよいわけだ。また最初からDVDへのダビングが前提ならば、2番組同時録画機能を使って同じ番組をTS録画とMPEG2録画の両方で録画しておくように心がければいいだろう。

　ダビング速度、品質のチェックは高速ダビングを行い、いつも通りPCでの簡易測定環境を利用した。メディアに関してはグループ会社の製品ということで、今回はマクセル製DVD-Rもくわえた。ダビング速度は概ねスペック通りで、DVD-Rではほぼメディア一杯のダビングでファイナライズまで含めて8分以下となかなか高速だ。

　書き込み品質も気になるレベルのものはなく、特にDVD-Rは最大16倍速書き込みという点を考慮するとなかなか優秀で、台湾製メディアでもまったく問題はなさそう。16倍対応メディアを用いた場合ダビング時の動作音はさすがに気になるが、静音モードなどは準備されていない。どうしても動作音が気になる人は、あえて4倍速、8倍速対応メディアを利用するということになりそうだ。

太陽誘電製16倍速対応DVD-R。エラーレート、TAともに最大16倍速書き込みであることを考えるとまったく問題なし

グループ会社である日立マクセルの16倍速対応DVD-R。太陽誘電製同様、エラーレート、TAともに問題なし

台湾Prodisc製16倍速対応DVD-R。国産の2つのメディアに比較すると外周部でのエラーレートが高めだが、一般的に見れば問題のないレベル。TAはまったく問題なしだ

日本ビクター製6倍速対応DVD-RW。TAが今ひとつだがDVD-RWでは総じて悪い結果が出やすく、相対的に特に悪いとまではいえない。筆者の手持ちのPCやDVDプレーヤーでは最外周部まで問題なく再生可能であった。エラーレートはこれも問題ないレベルだ

魅力的なデジタルダブ録レコーダー

　DV-DH1000Dは、デジタル放送の2番組同時録画機能を持つ製品としては既に2世代目となり、今のところ、直接競合となる他メーカー製品はない。旧モデルと比較すると2番組同時録画機能をより魅力的に活用できるようになったし、次世代DVDレコーダーまでの“つなぎ”として考えた場合も、i.Link入出力の自由度が高い点は魅力だ。ハイエンドモデルのため価格も相応だが、内蔵HDD容量（500Gバイト）だけが異なる「DV-DH500D」なら、購入のターゲットに入る人も多いのではないだろうか。

　やはり、現状のデジタル放送対応DVDレコーダーは、次世代DVDレコーダーまでの“つなぎ”と捉える人も多いだろうから、可能ならラインアップ全てでi.Link入出力をサポートして欲しいと思う。次はいつ放送されるか分からない、といった番組だけHDDに残しておき、次世代DVDレコーダーにムーブしてダビング、といった用途だと、必ずしも500Gバイト、1Tバイトといった大容量が必要ではない場合もあるだろう。下位モデルでもI.Link入出力がサポートされれば、メインは地上波アナログ放送をほかのDVDレコーダーで録画するが、画質に拘りたい番組の録画専用に購入するというユーザー層も取り込めると思う。

　ただ、使い勝手に関してはターゲットを絞り込めていないのかな？　という気もする。松下電器の「DIGA」シリーズほど割り切っておらず、東芝「RD」シリーズほどマニアックではないのだが、近いテイストも感じる。たとえば編集機能は高画質なデジタル放送を録画できるレコーダーだからこそ、フレーム単位の編集などもできるようにして欲しいところで、逆にダビング機能などはもっとシンプルなモードも準備しないと日立製作所の企業イメージで購入する層には不親切だと感じる部分がある。それでも、DVDレコーダーでは後発であった日立が、デジタル放送対応レコーダーで着実に製品の完成度を高めていることだけは間違いのない事実だ。今後の製品にも大いに期待したい。