インタビュー
» 2007年08月02日 03時45分 UPDATE

二足歩行ロボットの価格破壊、「i-SOBOT」がやってくる (1/2)

タカラトミーが10月に発売する「Omnibot 17μ i-SOBOT」は、17自由度の本格的な二足歩行ロボットだ。付属のコントローラで自在に動かすことができるほか、多彩なアクションとセリフをボタン操作だけで実行できるという。詳しい話をタカラトミーに聞いた。

[芹澤隆徳,ITmedia]

 タカラトミーが10月に発売する「Omnibot 17μ i-SOBOT」(アイソボット)は、全身に17個のサーボモーターを搭載した本格的な二足歩行ロボットだ。付属のコントローラで自在に動かすことができ、多彩なアクションとセリフをプリセット。音声認識機能まで備えた(別記事を掲載予定)。身長は165ミリメートル、体重350グラム。ギネスブックに「世界最小ヒューマノイド」というお墨付きをもらっている。

 そしてなにより、3万1290円という価格は二足歩行ロボットの“価格破壊”だ。i-SOBOT誕生の背景について、タカラトミー・マーケティング統括本部戦略開発室シーズ開発グループリーダーの渡辺公貴氏、ソフトウェア開発を担当した同グループエキスパートの苑田文明氏、マーケティングを手がける齋藤貴義氏に話を聞いた。

photophoto 「Omnibot 17μ i-SOBOT」(決めポーズ中)。タカラトミー・マーケティング統括本部戦略開発室シーズ開発グループリーダーの渡辺公貴氏

――まず、玩具メーカーがロボットを開発した経緯を教えてください

渡辺氏: 玩具会社の定番商品といえば、男の子のクルマ、女の子のお人形などですが、われわれはロボットをそれに加えたいと考えています。実際、旧トミー(現在のタカラトミー)では、古くはブリキの玩具を多く販売し、1984年には、その頃出始めたICを使って「Omnibot」(オムニボット)を発売しました。日本だけではなく、欧米にもたくさん輸出していたんです。また、2001年には世界最小の動物型ロボットとして「マイクロペット」を発売し、ギネスブックにも登録されました。

 二足歩行ロボットではホンダの「ASIMO」や近藤科学の「KHRシリーズ」などが有名ですが、われわれも(マイクロペットを発売した)2001年頃から「4年後くらいに二足歩行ロボットを作る」ことを目標にして企画を進めてきました。それが、たまたま現在のロボットブームに乗ることができた。丁度時期が重なったわけです。

photo 2001年に発売したマイクロペット

――今回もギネスブックに登録されましたね

渡辺氏: ギネスブックには、世界最小の二足歩行ロボット――それも販売ベースのものとして登録されました。実験的なロボットなら、より小さなものもできるかもしれませんが、販売ベースではコストや性能保証をクリアする必要あるので、よりハードルは高いと言えるでしょう。

――今までの二足歩行ロボットの値段を考えると、3万1290円(税込み)という価格には驚かされます。しかも、単四形の「eneloop」3本と充電器まで付属している。低コストにできた秘密を教えてください

渡辺氏: “玩具”として生産するための技術力です。i-SOBOTは、独自の構造や構成がほとんどで、サーボモーターもいちから作りました。しかし、われわれのチームにロボット工学をすごく勉強した人がいるかといえば、そんなことはありません。他社のロボットや制御チップを研究したこともほとんどないのです。

 理由は、参考にできるものがないから。他社は市場に流通している部材でロボットを作ろうとしますが、われわれの場合は「このロボットを作るには、ミニマムで何が必要か?」という所から始めます。そこに着眼するのが玩具メーカーです。

photo 踊るi-SOBOT。黒いユニットがオリジナルのサーボだ。中のモーターは、6ミリ径で長さ14ミリと、とにかく小さい

 企画が始まってから、ロボットがユーザーにどのような価値を提供できるのか、議論を重ねました。そしてエンターテイメントとしてのロボットは、この値段で製造できると筋道を立てたわけです。

――従来のホビーロボットとは、どこが違うのでしょうか

渡辺氏: ハードウェアで決定的に違うのは、外にワイヤーが出ていないことでしょう。(完成品の玩具として)販売するのですから、そうした処理は当然です。またサーボをクランプしている部分や制御系のソフトにも独自の技術とノウハウがあります。開発から量産に至るまでには、いくつもの困難に直面しましたが、それが1つ1つのノウハウになりました。

 小さいロボットのほうが容易に作れると思われがちですが、実はある程度大きいほうが制御はしやすいものです。たとえばホンダの「ASIMO」は身長130センチ/体重50キロ。体重はi-SOBOTの150倍ですが、電気の変換効率はASIMOのほうがいい。本当は、i-SOBOTのパワーを考えると重量は100グラム程度がちょうどいいのです(実際には350グラム)。実際、i-SOBOTの胸に入っている乾電池3本を外すだけで、まるで別人のように動きが軽やかになります。

齋藤氏: ほかのホビーロボットと比べると、音声が出るところが一番違うと思います。たとえばモノを持ち上げるときは「よいしょ」と言ったり、さまざまなセリフと動作がプリセットされています。

 i-SOBOTはパートナーロボットなので、人を和ませたり、楽しませたり、そして持ってることを自慢できる……そういう面が大事でしょう。ロボットですから対戦もできますが、実はあまり早く歩けないように設定しています。本格的なバトルというより“ロボット相撲”を楽しんでほしいですね。

――電源に「eneloop」を採用した理由を教えてください。ホビーロボットでは専用のニッケル水素充電池を使うケースが多いようですが?

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